2016.07.14 のニュース
広めよう過疎地ハンドブック
資源エネルギー庁石油流通課はこのほど、SS過疎地問題の“処方箋”となる『SS過疎地対策ハンドブック』を作成した。SS過疎地をめぐる現状は、ガソリンなどの需要減や後継者難、販売競争の激化などを背景に全国的にSS数が減少する中、市町村内のSS数が3ヵ所以下の地域は今年3月末現在で288ヵ所に上ることがわかった。前年同期に比べ5ヵ所増え、SSが0の町村は11、1ヵ所しかない町村が71、2ヵ所しかない町村が100、3ヵ所しかない市町村が106となった。
また、SS過疎地の実態をより精緻に把握するため、国が昨年度導入した『SS立地情報把握システム』において、最寄りSSまでの距離が15㌔㍍以上ある住民が所在する市町村は257ヵ所に上ることがわかった。このうち、SSが3ヵ所以下のSS過疎市町村と重複している自治体は49市町にとどまり、残り208市町村が新たなSS過疎地として浮かび上がってきた。
SS過疎地においては、石油販売業者による通常のビジネスベースでは事業採算が困難なケースが多く、現状のまま手をこまねいていると、今後さらにSS過疎地が増大し、多くの地域で石油製品の安定供給に支障が生じるおそれがあり、ひいては地域の衰退につながることも懸念される。
SS過疎地対策には、まず、地域住民の生活基盤の維持に責務を有する自治体のリーダーシップが重要となる。石油業界がSS過疎地問題をいくら訴え続けても、地域住民がその問題を意識し、自治体が主体的に取り組む状況が出てこなければ、様々な支援メニューを用意しても、問題解消に向けた対策は一向に前に進んでいかない。
同ハンドブックでは、SS過疎地問題への対処を4段階のプロセスに分類。①課題の認知②検討③実践④評価・改善である。SS減が進行し、SS過疎地が年々深刻化しつつある中で、課題の認知という第1ステップに一刻も早く取りかかる必要があろう。6月30日の中部経済産業局での開催を皮切りに、SS過疎地を抱える自治体や石油組合向けの説明会が全国で行われる。
この機会に全石連や石油連盟、元売各社のSS過疎地問題への取り組み、国のSS過疎地関連施策・支援措置、SS過疎地対策の先進事例をまとめた、同ハンドブックを各自治体に広く浸透させていくことがSS過疎地問題解決の第1歩となる。