日刊ニュース

2016.07.15 のニュース

事後調整は消失するか

 事後調整の問題が再びクローズアップされている。そうした中、直近における最大の注目点は6月の系列仕切りがどの様な形で決着するのかであり、特に大手元売の動向は注視される。6月以降、大手元売の中には従来までの先行指標のやり方を踏襲しつつ、仕切り水準の岩盤化を図る動きがある。そして、その結果が次第に明らかになっているが、「今月は調整なし」の声が各地の系列特約店から聞かれる。
 もっとも6月平均の先行指標と陸上現物指標の差異はガソリン0・6円、灯油1・2円、軽油1・3円にとどまる。関心の高いガソリンはそもそも大きな調整が発生する余地がなかったと言えるが、「すぐに揺らぐかも」(系列SS)との懸念があった中、“岩盤仕切り”は継続されている。6月23日には英国の国民投票でEU離脱が決まり、再び海外で発生した不回避の変動要因に為替や原油価格が見舞われた。
 これまでは仕切価格体系が変わるたびに様々な議論が白熱したが、今回の特徴は静かに進んでいるとの印象で、元売他社にも「調整なし」の動きは広がりつつあるとの観測も出ている。
 いまの事後調整は「昔ながらの事後調整とは異なる」との見方があり、同様の意見を5月の会見で木村康石油連盟会長が述べている。系列で違いはあるが、例えば、毎週、先行指標を提示しその後、市況などを鑑みて調整を行い、月末の請求時に最終的な仕切価格を決定する方式がある。かつての事後調整が月間どころか年間をまたぐことがあったのと比べると明らかに異なるし、調整の仕方にも暗黙のルールがあるように感じる。
 そうはいっても仕切り体系がより秩序化されることは、国内石油製品の価格メカニズムをわかりやすくする効果がある。岩盤仕切りが浸透すれば、小売市場でも販売業者のコスト意識が強まり、適正化が進むという期待が高まる。ただ、仕切りの透明化にもリスク要因はある。系列取引における価格交渉の余地が縮小され、元売の一方的な仕切りになりやすいし、小売市況の激戦地への対応がどうなるのかも注目される。コストコやジョイフル本田などと競合するエリアの販売業者にとっては死活問題につながる可能性もある。   7月も岩盤仕切りは変容せず継続するのか。また、それが新たな課題を生み出した場合、どのように解決を図るのか。当面、目の離せない状況が続く。

提供元:全国石油商業組合連合会
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