2016.08.01 のニュース
VOC問題を断固阻止
全石連と油政連の当面最大の課題であるVOC問題。森洋全石連会長は全石連総会での就任あいさつや表敬訪問した石油流通問題議員連盟の幹部をはじめ、資源エネルギー庁や石油連盟の幹部との面談で必ずこの問題を取り上げ、「SS側で対応する方針は断じて許してはならない」と訴えている。
VOC問題とは、環境省の専門委員会においていわゆるVOC(揮発性有機化合物)の排出抑制対策をSS側に義務付けようという議論が行われている問題だ。給油時に発生するガソリンベーパーを抑止するため、吸収装置の付いた新型計量機を導入することが義務付けられれば1SS平均1千万円前後の投資が必要になる。
森会長は「1千万円もの新規投資は我々中小石油販売業者が負担できる金額ではない。地下タンクの漏洩防止対策の義務化では多くのSSが廃業・撤退に追い込まれた。このVOC問題で再び仲間を失うことがあってはならない」と訴える。
もちろん全石連・油政連は1年以上も前から望月義夫環境大臣(当時)らに陳情し、SS側への対策の押し付けは「SS過疎地化を加速させる」として自動車側のORVR方式での対応を求めている。
その後、環境省の専門委員会の議論がいまだ「SS対応」に向かっているとの観測があったことから、今年4月20日に急遽、自民党の石油流通問題議員連盟(野田毅会長)の緊急役員会が開かれた。議連役員からは出席した環境省幹部に対し「SSはエネルギー基本計画で『エネルギー供給の最後の砦』と位置づけられている。SSにさらに過度な負担を強いることは国民生活に大きな影響を与える。我が国の自動車メーカーはORVR付きの車を作っており米国的な対応にすべき」と切り込んだ。
議連幹部でもある望月前大臣も出席し「政府は地方創生を掲げているのに、義務付けられればSSは皆やめてしまう。SSに負担をかけさせるのは理論的に成り立たない」と述べ、最後に野田会長が「これらの意見が議連の総意だ」と念を押した。
VOC対策の方針決定に向けて国は、業界の悲痛な声やSS過疎化の現状、さらには災害対応に欠かせないSSの存在意義などを総合的にみて決めるべきだ。それを無視した議論はあらゆる手段を駆使して断固反対していく。