日刊ニュース

2016.08.02 のニュース

地場SSネットワークを守る決断

 経済産業局単位でSS過疎地対策に係る説明会が開かれている。参加した市町村からは、SSがなくなってしまった地域社会の深刻な声も発せられているが、残念ながら、出席さえも見送るような県もある。
 SS過疎地が拡大した要因は、なにも日本社会の都市集中や少子高齢化ばかりが原因ではない。その多くは「政策的・構造不況」(野田毅自民党石油流通問題議員連盟会長)部分に拠る。
 その第1戦犯がセルフSS解禁という政策決定である。「数量増」と「際限のない合理化」を通じて、数10レーンを擁する巨漢SSを登場させ、その肥大化する一方の胃袋を満たすために、多くの地場SSが生存基盤を奪われた。現存する過疎地SSの多くは、そうした厳しい時代を辛うじて生き残ったが、スタッフを兼ねる経営者自身も高齢者になった。頼りにしていた後継者は、とっくの昔に事業承継をあきらめている。
 第2戦犯は老朽地下タンク対策だ。経年40年、50年の各必須対策が求められたことによって、過疎地SSは事業の継続意欲を著しく削がれた。ところが掘り出された地下タンクの中には、まだまだ現役使用に十分に耐え得るタンクも多かった事実があり、漏洩リスクに脅かされずに生存できたSSもあったであろう。
 地場SSの有無は、その地域社会の存立に関わる大問題である。この1年間でSSは1379ヵ所が廃止となり、1日3・8SSが消滅した。全石連の「これ以上のSSネットワークのき損は断じて許さない」という決意表明は、むしろ行政側にも必要な要件だ。
 にもかかわらず、給油時のVOC対策をSS側に求めようとするのも行政である。量販SSによる廉売を制御し得ない独占禁止法の運用に終始しているのも行政である。10数㌔先の街中のSSによる廉売が、過疎地にある地場SSの存立を脅かし、廃業を決意させ、過疎地は限界集落への道を突き進む。独居高齢者が混合油や灯油の入手が困難になった際、比較的、近隣の地場SSの地域愛に訴え、配達を委ねようとしても、いずれ不可能になる。
 いま過疎地などを中心にSSネットワークは、途切れる寸前にある。断固として地場SSのネットワークを守る、という行政・政治の確固とした決断が必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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