日刊ニュース

2016.08.03 のニュース

卸価格いかにあるべきか

石油連盟の木村会長が「卸価格の決定は元売各社の自主判断に委ねられるべきもの」と発言したことなどから、卸価格論議が活発化している。論点は2つ。第1は、卸価格の問題に対して行政がなんらかの形で介入することの是否。第2は卸価格の決定方式は透明であるべきか否か。
 第1の論点については、一般論として考えるなら卸価格は商売上の問題であり、あくまでも民民で解決すべきという大原則を念頭に置けば、行政はどのような形であれ介入すべきでないという結論に至る。しかし、事はそう単純ではない。
 民民で解決するためには、法律上はもとより、商道徳上からも公平かつ公正さが求められるが、過去の歴史を紐解く限り、卸価格の決定には常に不公平かつ不公正さが見え隠れしていたことは否定できない。だからこそ、その仲裁役として行政の存在が求められたのであり、行政もそれに応えようとしてきた。結局は、これに元売各社がどう答えるかで、第1の論点の行方が決まる。
 第2の論点についても、常識的に考えるなら卸価格の決定方式は透明であるべきとの結論に至るのだが、こちらももはやそう単純な世界ではない。不透明さの象徴である事後調整は、一方でブラックボックスとの批判を浴びつつ、他方では、いま事後調整がなくなれば事後調整に頼って商売している販売業者の大半が倒産に追い込まれるとの悲痛な声を生む。
 とはいえ、「事後調整があると元売ばかりみて商売することになるが、事後調整がなければ客をみて商売することになる。それが本来の商売の姿」との声に象徴されるように、本音で事後調整なしを標榜する元売が登場する中、卸価格の透明性を求める声がいままで以上に強まっていることも見逃せない。
 立ち位置によって見解が真逆の方向を向くことは、石油販売業界がたどってきた紆余曲折を反映しており、腑に落ちる。そういう真逆の意見もすべてひっくるめて、卸価格はいかにあるべきかについて激論を交わし、元売との関係を改めて見直すことは、元売再編が最終章を迎え激変が予感されるいまこの状況下では、販売業界にとって大きな意味があるはずだ。
 石油業界全体が再編へ向けてのカウントダウンを耳にする中で、商売の根幹を成す卸価格の議論が沸騰することは、ある意味で当然の流れともいえる。

提供元:全国石油商業組合連合会
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