2016.08.04 のニュース
外因に左右されない経営構築
本格的な夏期商戦に突入する。帰省や観光などで人とクルマの動きが活発化し、年末年始商戦と並ぶSSにとって書き入れ時となるが、今シーズンはすでに業転安の進行によって一部のPBSSや系列量販店の安値拡販姿勢が強まっており、激戦地ではレギュラー110円割れの実売価格が散見されるなど、乱売競争の拡大を危惧する声が高まっている。
卸価格の根幹を成している国際原油価格情勢をみると、2015年初、WTI原油先物はバレル30㌦割れの水準にまで落ち込んだ。油価下落の背景には、中国発の世界的な経済悪化が強く認識された結果との見方が強く、2月に起こった上海株式市場の急落による中国経済の悪化が世界経済不安、そして株安を演出し、さらに原油安をもたらした。
しかし、4月に入り油価急落の影響で、米国シェールオイルの生産量が落ち込みを見せ始め、原油の供給過剰感が徐々に解消し始めると、再び原油価格は上昇トレンドをたどり、40㌦台まで浮上、6月にはWTIで一時50㌦台に乗せた。
こうした状況の中、6月24日の国民投票による英国のEU離脱決定が世界経済不安をあおり、世界同時株安となって顕在化、回復基調にあった原油市場にも冷や水を浴びせ再び油価下落を招いた。英国のEU離脱にはまだ時間を要することから、原油市場も落ち着きを取り戻し、足下は45㌦前後で推移している。
今後の原油価格情勢は、米国などの生産減を背景に今年末ごろまでに需給バランスが整い、油価も50㌦を超えるという予測もあったが、米国をはじめ世界各国でガソリンなどの過剰在庫を抱え、この解消が17年以降にずれ込み、中国などをはじめとした世界経済悪化の要因が加わってくると、油価は再び下値を探る暴落状況に陥る懸念も予測されている。
いずれにしても、原油価格情勢は需給や経済、地政学的リスクなど様々な情勢次第で、高値にも安値にも振れるという極めて予測困難な不安定要因を抱えているのが実態である。
内需はすでに需要減が顕在化し、資源エネルギー庁は16~20年度までの今後5年間でガソリンは年平均2・5%減の需要見通しを示した。内需減が業界の共通認識となる中で、いかに低マージン体質から脱却し、再投資可能な経営体質を構築するか、石油業界は大きな岐路に立たされている。