日刊ニュース

2016.08.08 のニュース

自衛的燃料備蓄へのケアを

 大規模災害時に重要な役割を担う病院や災害対策本部となる官公庁舎などでは、電気・ガスなどの系統エネルギー途絶に備えて非常用発電機を稼働させるための燃料確保が欠かせない。そうした場合、地元の石油組合などとの間で災害時協定を締結していれば、地場の組合員事業者は極力、速やかな供給に努めるのだが、災害の規模次第では間に合わないことも考えられる。だからこそ、これらの重要施設では日ごろからの自衛的燃料備蓄が必要不可欠なのである。
 資源エネルギー庁では今年6月、「災害時燃料供給の円滑化のための手引き」を作成し、災害時に重要になる施設を管轄する地方公共団体などに配布した。首都直下地震や南海トラフ地震などの激甚災害の発生に備えて石油供給体制を整備するのが目的だ。
 災害が発生したら病院や官公庁舎、防災関連施設などの重要施設はまず、非常用発電機を稼働させるため取引業者に連絡し燃料調達を行う。その調達が困難な場合は都道府県に燃料供給を要請し、都道府県は要請を取りまとめて都道府県石油商業組合との災害協定を活用して地域内での燃料調達を行う。
 災害規模がさらに大きく、石油の供給不足が発生するような場合は、石油備蓄法に基づく経済産業大臣の勧告によって「災害時石油供給連携計画」を実施する。石油業界が共同で燃料供給を行うもので、今回の熊本地震でこの体制が初めて実施された。
 災害時の燃料供給は原則このように行われるが、災害の規模や被災状況次第では、道路網の復旧が遅れたり、輸送手段の確保が困難だったりする場合がある。それに備えて各重要施設は燃料を備蓄することが必要だ。中には未だ非常用発電機を設置していないところもあるというが、被災者の命を守る災害時の役割の重さを考えれば、発電機の配備と燃料備蓄は必須事項だといえる。
 その際、備蓄燃料の長期保存における注意喚起も別掲の通り必要不可欠だ。燃料の劣化対策のためにも定期的に非常用発電機を使用し、燃料の入れ替えを行うことが必要なのである。これまで自治体に対し災害時対策の必要性を訴えてきた石油連盟は、備蓄燃料の劣化についても注意を呼びかけ始めた。災害対応の拠点であり、需要家と接する販売業界も、この呼びかけに協力しなければならない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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