日刊ニュース

2017.01.19 のニュース

今年こそ厳正な対処を

 この欄で何度も紹介しているように、公正取引委員会が2009年に示した「ガソリン不当廉売ガイドライン」の中に、「過去に注意を受けてもなお再び注意を受けるような事業者に対しては事案に応じて①責任者を招致したうえで直接注意を行うほか、②周辺の販売業者に対する影響が大きいと考えられる場合には、簡潔迅速な処理によるのではなく厳正に対処する」と明記された。
 全国の中小石油販売業者はこの方針を信じて、自社SSの仕入価格より低い水準で廉売しているような事業者を不当廉売で申告している。同業者を申告することは非常につらいことである。しかし、それでも申告しているのは、いくらボリュームインセンティブがあっても、普通では考えられない価格でなぜ売ることができるのか。公取委にそのからくりを調べてもらい、不公平・不公正な部分があればそれを是正してもらいたいがために、あえて申告しているのである。
 一昨年来、外資系流通大手のコストコが店舗にSSを併設し始めた。同店が進出した市場ではあまりにも安い価格でガソリンを販売していることから、周辺業者が次々に不当廉売申告をしている。15年12月には愛知県常滑市の店舗に対し「警告」が行われたものの、同店はその後も一般SSでは対抗できない価格で廉売を続けており、これまで4回注意が行われた。同社の岐阜羽島店でもこれまで3回の注意が出たが、それ以上の措置は講じられていないのが実情だ。
 何回も注意を受けているのはこれらの異業種だけではない。関東地区では、合併の行方が注目されている元売の販売子会社による廉売が目立っている。合併前のシェア拡大を狙った量販戦略が背景にあるといわれているが、昨年来、経営に打撃を受けている周辺業者が、何度も公取委に申告したものの注意どまりで、公取委のガイドラインにもある厳正な対処も執られているようには見えない。
 昨年6月に就任した森洋全石連会長は各石油組合や組合員に対し、「不当廉売、差別対価に関する公取委への申告をあきらめることなく行っていただきたい」と呼びかけてきた。公取委には今年、そのガイドラインに沿って大ナタを振ってもらいたい。そうしなければ独禁法が禁止している不当廉売などの規制への信頼も消失してしまう。

提供元:全国石油商業組合連合会
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