2017.01.20 のニュース
正しくない子会社SSがある
13年後の2030年においても石油は国内一次エネルギー首位の30%を担う。ターゲットを見据えて必要なエネルギー政策を打ち出すベースとなるため、かつての新規原発推進策と同様に、ややもすると誇大な再生可能エネルギーの数値を求めたがる総合エネルギー調査会だが、それでもエネルギー供給において「災害時における最後の砦」と持ち上げたうえで、石油シェア30%を打ち出している。
環境への配慮という側面で、現行のシェア43%から中長期的に低下する方向は否めない。しかしエネルギー課税および道路利用という側面において、ほぼ完全無税の電気や相対的に優遇されているガス体といった次世代エネルギーのエースを尻目に、ガソリンで㍑53.8円、年2兆6千億円、軽油で32.1円、9600億円など幾重にも重しを付けられながら、政策的に衰退していく方向性が示されているのだ。当時の通産省を筆頭に、国が総力を挙げて支えようとした、かつての石炭産業とは全く異なる。それが我々の石油業だ。
こうした外患よりも、石油業から明日の輝度を低下させているのが実は内憂である。電気自動車(EV)や天然ガス車よりも深刻なのは、国内石油産業の一翼を担いながら、産業の基盤を損なう行為が横行していることである。大手の一角を占めながら、身の丈以上のガソリン生産を継続する行為も然り。経済合理性を超えて、半世紀にわたって地方過疎地を支えている系列SSよりも、新規参入のPB量販SSを優遇する仕切り政策も然り。そんなPB量販SSよりも、さらに割安であることを訴求する子会社SS然りだ。
国内石油産業が守るべき最大の財産は、規模の大小は異なっても石油(ガソリン)市場だ。元売にとっては日本市場であり、我々SS小売業においては地域市場。その大切な市場を破壊し、ガソリンの価値を損なおうとする者が、例えば異業種PBならまだ我々小売業者は理解できる。ともに戦うという選択肢も取れる。子会社SSはいけない。
系列SSにおいて子会社SSは系列ビジネスモデルの雄であり、範であってほしいのだ。安売王であろうとするなら、それは無用というより、不要というより、むしろ阻害であり元凶である。安値50SSに子会社SSが登場することを元売トップが恥じ入る。系列SSに対して申し訳なく思う。これが正しい日本の石油文化である。