2017.01.27 のニュース
自動車業界の劇変を考える
自動車業界はいま、100年に一度の劇変に直面している。その中心にあるのは自動運転だ。自動運転そのものというより、自動運転を構成する様々な技術が、従来の自動車業界の成り立ちを根底から覆す役割を果たそうとしている。環境対応も様々な技術革新を業界にもたらし、これからもさらなる技術革新を促すことになるはずだが、こうした動きと自動運転にかかわる技術とはなにが異なるのか。
自動運転が様々な技術の集積によって成り立っていることは以前にも書いた。センサー、レーダー、画像処理、情報通信、そして究極は人工知能(AI)にまで至る。それらはどれもが、従来の自動車関連技術とは疎遠のものばかりだ。自動車業界がこれまで培ってきた技術の延長線上では対応できない。
どんなに画期的な技術革新でも、例えば内燃機関の範疇に納まっている技術であれば、従来の自動車業界の枠組みの中で対処できる。しかし、レーダーも画像処理も情報通信も、従来の自動車業界の枠組みとはあまりにもかけ離れている。自社の一部門として取り込むにも、あまりにも距離感がありすぎる。
そこでにわかに表面化しているのがアライアンスの動きだ。自社系列に必ず部品メーカーを取り込んでいる垂直統合が基本だった従来の自動車業界に対し、今後はIT業界など異業種との水平連携が主流となる端緒ともいえる。そうした劇変の芽はすでに、自動車業界のそこここで開花し始めている。
SS業界では車の電装化に対応するため、数年前からようやく、スキャンツールにかかわる技能の習得に着手した。スキャンツール研修には国の支援策も講じられ、整備業界に後れを取らないよう、業界を挙げての取り組みが本格化したところだ。
ただし、SS業界がスキャンツールとかかわっている現状のスピード感で、自動運転まで見据えた電装化の流れについていけるのかと問われれば、即座に肯定できないのも事実だ。数年前とは状況が一変している。車を巡る技術革新は想像をはるかに超えて加速している。
それでも、車を相手に商売をしている以上、車が置かれている現状は正しく認識していたい。そして、それに対応できる技術を身に付ける努力は、常に忘れずにいたい。スキャンツールはそのための命綱であり、同時に、これからの商売における大切な打ち出の小槌だ。