2017.01.31 のニュース
仕入格差と販社SSの問題
中小石油販売業者の“痛切”な思いが多数届いた。石油協会は2014年度以降、石油製品販売業経営実態調査に自由記述欄を設けて意見や要望をお聞きしているが、「系列業転格差」「不当廉売・差別対価」問題などについて、今回も全国各地から迅速な是正を迫る声が続々と集まった。残念ながら、ほぼ同様の問題提起が3年間繰り返されたことになる。中小石油販売業者の懸念、不安、不満は解消に向かうどころか、さらに増しているのではないか。
自社の系列仕入れより安い売価の横行。経営努力が及ばない業転格差。理不尽な取引慣行に対する憤り。公正な競争秩序の確立を強く訴え続けても実効性が伴わないもどかしさ…。数年前、エネルギー供給者として長年にわたり地域社会を支えてきた「地場SSの経営を持続させていくことは困難だ」と悩んでいた組合員は、いまも踏ん張られているだろうか。他方、地域市場を席巻しようとしている量販店と同じ商圏にある掛売り主体の地場店は、顧客に対する価格設定を「申し訳なく思いながら商売している」とも嘆いていた。
「業転格差が系列SSを窮地に追い込んでいる」との指摘は多い。災害時対応や過疎地問題などを踏まえると、SSネットワークの棄損が大きな社会的損失につながることは明白。需給均衡への取り組みは急を要する。
元売の責任は重い。設備廃棄に至る前にもできることはある。自社の競争力を高めるため、余分に生産する。系列外に割安で卸す。SS競争の激化を招く。系列量販SSの重点支援にまわる。こうした“負の連鎖”を断ち切る覚悟で各自が臨まない限り、石油産業は低収益体質から抜け出せない。自覚だけでは物足りない。肝心なのは行動だ。
さらに、より深刻な提起も続いている。業転仕入れでローコスト運営に徹するプライベートブランドSSとほぼ同水準、あるいは実質それ以下の低価格で対抗する元売子会社の存在だ。「仕切りがあっても、ないようなもの」「赤字でもつぶれない(赤字にならない)」。中小SSがそう考えざるを得ない事象が、少なからずある。販社が“範社”として、SSの付加価値を油価に上乗せするビジネスモデルを提示できないものか。
仕入れ格差と販社SSの問題が改善されれば、石油小売業の視界がもっと見えやすくなるはずだ。