日刊ニュース

2017.02.03 のニュース

著しいガソリン需給の緩み

3年ぶりの大増産。エネルギー転換や天候要因で2015年度に前年度比4.3%減となり、SS関連3油種の中でも極めて低調に陥った灯油は、過去最少レベルの在庫でのシーズン・インとなった。しかし今冬は、「前期の12月は暖冬だったが、今期は正反対。結果として1月分の需給が狂った」と評される天候となり、石油連盟の週報から弾き出されたこの年末12月は、2013年12月以来、233万㌔㍑もの灯油が生産された計算になる。そうして迎えた1月も、灯油はおそらくフル生産が持続された模様だが、一方の出荷が滞った形跡が残る。
 その結果、史上まれに見る豪雪に見舞われた灯油在庫量は横ばいで推移し、どうやら1月末在庫は、前年比を上回る状況が生じそうだ。和歌山での製油所火災などの影響は未知数だが、灯油在庫がショートしそうな危惧は、やや沈静化しそうだ。ところが、この灯油増産の過程で、原油からの連産品の宿命で増産されてしまったガソリンのほうが、むしろ危うくなっている。一方の出荷量も豪雪の影響で低迷気味で、需給の緩みが著しいのだ。
 生産量の増大と販売量の不振の結果、ガソリン在庫は1月中に大きく積み上がっている。1月末の在庫量は、前月12月末比で40万㌔㍑前後増える見通しだ。経済産業省の11月統計で前年比8.6%減を記録するなど、ガソリン在庫はほぼ一貫して前年割れの在庫水準を保っていたが、間もなく前年比での在庫増がアナウンスされそうだ。
 在庫が増えて需給が緩むと、必然的にガソリン卸指標は値下がりに転じる。京浜海上は月初比で㍑5円近い下落、首都圏の陸上出荷も4円近い下落が生じている。この間の原油の値下がり幅が2円以内であることから、需給の緩みを象徴している。製油所火災の後もガソリン卸指標は続落していることから、市場の反応はガソリンの内需不振をより強く映している。「値段はともかく、数量を頼む」という生々しい売り込みを証言する声が聞かれる。
 元売は俊敏に、灯油ショートの懸念に対応した実績がある。同様に俊敏にガソリン在庫増に対応すべきだ。このままでは、年度末を迎えようとするこのタイミングで、自らの収益を低下させるばかりか、硬直的かつ事後的な仕切り政策に甘んじている系列SSのガソリン収益性をも毀損しかねない。

提供元:全国石油商業組合連合会
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