2017.02.07 のニュース
EV普及への覚悟と見直し
原油価格の乱高下などと相まって、浮かんでは消えていくEVの普及拡大報道が、またぞろ大きく注目されてきている。しかし、EVの普及に懐疑的な見方も一方であったこれまでの報道とは異なり、その普及がかなり現実味を帯びている。
独フォルクスワーゲン(VW)は、2015年9月に排ガス検査の不正問題が発覚。急激な業績悪化に見舞われ、それまでのディーゼル・ガソリンの内燃機関中心のラインナップから、一気にEVシフトを鮮明にさせようとしている。同社は日本で今夏に小型車「ゴルフ」を発売すると発表した。
自動車業界でVWと双璧を成すトヨタも昨年末、EVの戦略立案や開発を担当する社内組織を新設すると発表。グループ会社の総力を集め、早期の量産開始を目指すという。また、EVの心臓部であるバッテリー開発においても、パナソニックが米EVメーカー・テスラと車載バッテリーの量産化を進める。
1充電あたりの走行距離と充電時間の長さなどのデメリットから、普及拡大には時間がかかるとみられていたEVだが、大手自動車メーカーの本格参入やバッテリーをめぐる開発強化の動きから本格普及が早まるとの見通しも強まってきている。
SS業界には、自動車用燃料の供給拠点という業態から、洗車、オイル、タイヤ、バッテリー、整備、車検、保険、新・中古車販売、レンタカー、オートリースなどクルマにかかわるサービス提供のほか、コンビニやコーヒーショップ、ファーストフード、レストランの併設など、顧客の多様なニーズに対応した業態化への取り組みも不可欠となってくるだろう。
そして、こうしたクルマをめぐるパラダイムシフトへの対応に向けた急速な変化に、SSの対応力を磨いていく一方で、内燃機関車とEVの普及に向けたイコールフッティングも確保されなければならない。消費者の購入に際し、税制や補助金で大きな支援が施されているEVに対し、一般財源化されたとはいってもガソリンに課せられた税収によって、道路の維持・更新が行われているほか、石油など化石燃料から集められた石油石炭税が原資となっているエネルギー対策特別会計から、EVの購入補助や充電器の設置補助が出されていることを忘れてもらっては困る。EVに対する税制のあり方などを真剣に見直す時期にきている