2017.02.21 のニュース
いまこそ大事な“地販地消”
SS数は1994年度末のピーク6万ヵ所から20年強でほぼ半減したが、いまもなお身近なところでも閉鎖したSSが目にとまる。平成以降、「新設」は96年度末までの8年にわたり1千ヵ所超が続き、90年度には1700ヵ所を数えたが、以後4桁に戻ることはなく、直近の15年度末は200ヵ所とわずか1割。一方「廃止」は95年度以後21年連続の4桁台で、06年度には2400ヵ所に達し、直近は1400ヵ所弱だ。この結果、95年度からは一貫して廃止が新設を上回り、97年度以降は1千ヵ所超のSS減少が続いている。
これに対して揮発油販売業者数の「増加」は、平成以降の8年は毎年5~600人程度、その後は2~300人前後で推移、10年以降は200人を割り、直近は130人弱となった一方、700人超~1千人超水準での「減少」が約30年にわたって続いたことで、94年度末の3万1500人から1万5千人強と、SS数同様にほぼ半減した。
こうして「競争相手の数」は激減したものの、「競争環境の改善」となると心もとない。残った競争相手は、価格攻勢を武器にしのぎを削ってきた大型量販店や資本力に勝る広域業者が優勢で、長く地域の一員として良きライバル関係で切磋琢磨を続けてきた地場業者の多くはなんとか踏ん張っている状況だ。
全国各地で開催された石油組合の新年会あいさつでは「再投資可能な利益の確保」の必要性を訴える声が続いた。組合員・SS減少への危機意識は一層高まっている。他方、元売トップからは大規模再編を前に「変化や変革への対応」「安定供給責務」などが強調された。再編を繰り返してきた元売はもうすぐ6社体制になるし、精製や物流の提携も絡み合う。安定供給に大きな網をかけるのが元売の役割であり、地域社会・市民生活の最前線まできめ細かく石油製品を給油・配達し続けていくのが小売業者の使命だろう。
農業の分野では“地産地消”の取り組みが強化されているが、石油業界もそれになぞらえ、地域で必要な燃料の供給・販売は地元業者にお任せ願う“地販地消”を一層重視し、各方面から期待が寄せられている災害時対応にも備えるのが望ましくはないか。SS数こそ減ったとはいえ、1万5千人強もの事業者が国内各地に存在し、大半は地域事情に精通した方々だ。その経験や知見をこれ以上失う社会的損失は大きい。