日刊ニュース

2017.02.22 のニュース

災害時に向けた地場SSの思い

 全石連や油政連はSS過疎化が進むことによって災害時の対応が困難になることを危惧し、地域SSの維持・継続が不可欠であると訴えている。この「地域SS」は、ニュアンスとしては「地場SS」と置き換えてもいいのではないだろうか。例えば「地場産業」とは、「地元資本をベースとする同一業種の中小企業が特定地域に集積しつつ産地を形成」していることを指すようだが、「地場SS」は決まった定義はないものの、地域の消費者や産業に密着しながら経営を続けている地元の中小SSというイメージである。
 実は、災害時にはこの「地場SS」が頼りにされる。なぜならば、地場SSは経営者がすぐ近くに住み、普段、店を閉めている時間でも、近所のお客さんが困っていれば店を開けてくれる。地震や台風など大きな災害が発生したら、店が倒壊したりケガをしていない限り、馴染みのお客さんやご近所さんの要望に応えるため店を開け、手回しで油を汲み上げて供給する。地場SSならではの役割なのである。
 東日本大震災でガソリンを求めて延々と並ぶ車列や灯油缶を持った人たちの姿を、テレビや新聞報道で多くの国民が見た。これを意識して、昨年4月の熊本地震では地震発生の数時間後にはSSに長い車列ができていたという。いま、人々はひとたび災害が発生すれば燃料ストックのために近くのSSに向かうのだ。
 その熊本地震では2回目の本震で阿蘇地域に電力を供給する巨大鉄塔が倒壊し、広大な盆地一帯が停電した。この盆地には自家発電を備えた中核SS2ヵ所と発電機を自社所有していた1ヵ所が、余震が続く中で燃料供給を続けた。
 昨年8月の台風10号災害で道路や橋が流され孤立状態に陥った岩手県岩泉町でも、停電が発生した。同町の中核SS1ヵ所と発電機を自社所有していた1ヵ所、もう1ヵ所は悪路をかき分けて岩手石商事務局に行き、災害時用に保管していた発電機を借り受けて燃料供給を行った。これらがまさに地場SSである。
 昨年末から募集が始まった住民拠点SS事業に注目が集まっている。災害が起きた時、自らが無事だったら、まわりで困っているお客さんや避難所に発電機を使ってなんとか油を届けたい。地場SSのこの思いが事業への注目度に表れている。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE