日刊ニュース

2017.02.27 のニュース

SSも競争から「協創」の時代に

1994年度末に6万421ヵ所を誇ったSS数は、約20年で3万2333ヵ所と、ほぼ半減レベルにまで減少してしまった。SS減は石油の安定供給に支障をきたし始めている。ガソリンなどの需要減や後継者難、販売競争の激化などを背景に、市町村内のSS数が3ヵ所以下の地域は、昨年3月末現在で288ヵ所にも上る。
 東日本大震災、そして昨年4月の熊本地震においてSSは、エネルギーインフラの中でいち早く立ち上がり、緊急車両をはじめ、建設・工事車両・重機、電源車などへの燃料供給に尽力するなど、エネルギー供給の『最後の砦』としての“力”をいかんなく発揮した。だが、SS数の減少は、地震・台風・噴火・豪雪など、いつどこで発生するかわからない災害への対応において、国民の生命・財産を守るうえで、国の危機管理体制に重大な危機をもたらしかねない。
 昨年6月に神戸市で開催された全石連総会で新任された森洋会長は、日本全国に張り巡らされたSSネットワークを「これ以上減らしてはならない」、「できうる限り維持・強化していきたい」と所信表明し、SS事業者の7割を占める小規模事業者の視点に立った組織活動を推し進めている。組織活性化策の目玉の1つであるSS経営革新部会では、共同化・協業化などSSの生産性向上につながる事業の提案のほか、資源エネルギー庁が昨年5月に発表した「SS経営に関する優秀事例100選(=SS100選)」を活用するなどして、新たなビジネスモデルの創出を促す取り組みを始めている。
 他業界では、人手不足などを背景に、市場の最前線では競い合いながらも、各メーカーが独自で作り上げてきた物流網を一体化し、生産性の向上や効率化につなげる事例が増えている。
 こうした連携の動きは石油販売業界でも始まっている。新潟の灯油宅配ニイガタは、県内の複数事業者が共同出資会社を設立、灯油配送を合理化してコストを大幅に削減し、小口宅配事業を維持することで地域社会に大きく貢献している。愛媛の宇和島共同配送センターは地元複数社で事業組合(LLP)を設立し、灯油配送を合理化。 人・モノを共同利用することで、人員体制・設備・配送ルートの効率化を実現させた。競争から、SSの新たなビジネスモデルを協力して作る“協創”の輪が広がることを期待したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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