日刊ニュース

2017.03.03 のニュース

ガソリン輸入価格の独歩高

 昨年12月、公正取引員会がJXホールディングスと東燃ゼネラル石油の合併などを承認した。その際、公取委は合併などで少数化した元売が協調的な行動を取ると実質的な競争制限が発生すると指摘した。これを受け、元売は問題解消措置としてガソリン、灯油、軽油、A重油の主燃料油について油種ごとに元売以外の事業者によって輸入される数量が内需の10%に相当するまで備蓄義務の肩代わりを行うという輸入促進措置を実施すると公取委に確約した。
 再編によって集約化が進むと元売段階での過当競争が収束し需給適正化が進むと期待される。一方で今回の輸入促進措置はその“適正化”が行き過ぎた場合を懸念して、国内市場が高止まりすれば輸入品が海外から流れ込むスキームと言える。これに伴い、4月以降は輸入価格が国内卸指標の水準を決める大きなファクターになった。
 ただ、再編のスタートまで40日を切った足元をみると、そうした予想図とは全く異なる市場の姿がある。国内には価格指標3社があるが、ガソリンの国内価格は輸入価格を比べて、2月平均値(20日まで)でプラッツが海上5・6円安、陸上6・1円安、OPISが海上6・1円安、陸上7・9円安、リムが海上6・2円安、陸上7・9円安となり、いずれも国内独歩安になっている。しかも1月比でみると、陸上は3指標ともに輸入価格との格差が広がり、集約化効果に逆行している格好だ。
 直近でみてもガソリンの輸入価格は108円水準。これに対して、国内陸上は102~4円で推移しており、輸入価格は独歩高の状態にあるといってよい。さらに大手元売・系列仕切り(推測値)もいわゆるブランド料込みで108円水準(運賃別)、系列によってはこの水準以下の仕切りもあるとみられる。系列仕切りにおいてさえ、輸入価格と同水準以下のものがある。
 加えて、首都圏市場では小売価格で実売117円水準が散見される。消費税を差し引くと、輸入価格と同レベルの水準であり、これは本来、業界にとって驚異としか言いようがない。歪な価格構造のもと、元売の強靭化は図れず、それは石油業界を不安定化し、販売業界の健全化にも好影響を与えないだろう。 今後、輸入価格と国内卸価格の値差は元売再編の効果を図るバロメーターの1つと考えられるが、その価格推移を引き続き注視したい。

提供元:全国石油商業組合連合会
〒100-0014 東京都千代田区永田町2-17-14石油会館
TEL:03-3593-5751
FAX:03-5511-8870
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE