2017.03.07 のニュース
PHVが謳う災害対応力
トヨタのHV世界累計販売台数が1月末で1千万台を突破した。地域別では日本485万台、北米319万台、欧州134万台と続く。プリウス登場から19年強。国内はプリウス181万台(全体の37%)とアクア115万台(24%)で計6割を占める。今般、プラグインHV(PHV)を含めたHV乗用車の28モデル目として新型プリウスPHVが加わった。
新型はEVモード走行距離が旧型比2.6倍の68.2㌔㍍(三菱アウトランダーPHVは60.8㌔)、ハイブリッド燃費は18%向上して37.2㌔(同19.2㌔)に達し、時速135㌔まで電動のみで走る。オプション設定ながら、量産車世界初のソーラー充電システムを搭載し、1日で最大6.1㌔、平均2.9㌔の走行距離を確保。他方、災害時などに備えた外部給電機能として、ガソリン満タン・満充電状態だと一般家庭4日分相当の電力量を賄えるという。
発表会見で同社会長は「HVの次を担うエコカーの本命はPHV」と明言。同時に、燃料電池車が一般化するまでには長い時間を要し、「しばらくの間は、依然として石油が自動車エネルギーである時代が続く」「HV以上に、PHVの普及に努めなければならない」と強調した。新型プリウスPHVの年販目標を3万台としたトヨタの本気度がうかがえるが、最廉価モデルで補助金込み約316万円。プリウスと比べて70万円以上高く、乗車定員も4人である。
国内市場における昨年1年間の乗用新車販売台数は、HV107万台に対しPHV1万台弱。昨年3月末現在の保有台数は、HV550万台に対しPHV6万台弱。先代プリウスPHVは5年間で累計2.2万台販売されたが、HVとの差は歴然だ。また、人口減・高齢化・若年世代のクルマに対する興味低下などを背景に、昨今4割を占める軽自動車シェアがさらに高まり、登録車市場は縮小するとの見方もある。
経産省が昨春取りまとめたEV・PHVロードマップでは、20年に最大で合計保有100万台を目指すが、現状ではその2割に満たないようだ。30年目標の新車販売シェア20~30%達成には、大きな転機が必要となろう。災害への備えとしてPHVの付加価値をアピールする戦術が、費用対効果を含めて消費者や社会にどれだけ受け入れられるか。「満タン&プラス1缶」運動に臨む我々も注目したい。