2011.01.17 のニュース
100ドル肉薄!子会社SSを注視
バーレル98.6ドル。これは欧州ブレント原油2月物の12日終値だ。世界指標の米国WTI原油が90ドル台前半にある中で、欧州指標が100ドルに肉薄してしまっている相場の乖離については、欧米と極東アジアを覆う世界的な寒波の影響なのか、ユーロとドル間の為替要因なのか、それとも非在来型の天然ガス・シェールガスの利用が急拡大する北米の特殊事情なのか、識者も見解が分かれる。アジア指標のドバイ原油は両者の中間の94ドル前後にある。
軽質油のWTIが最高値で以下、ブレント、ドパイと続く原油相場の常識。そこから離れた3大指標の近況となっているが、アラビア半島を挟んで、裁定取引が常時起こっているブレントとドバイの相場連動性が、常態方向へ回帰すれば、アジア指揮のドバイが2008年9月上旬以来の100ドル原油と化するストーリーが近々起こりうるレベルである。率にしてわずか5%の金融商品的な高騰が起これは、3油種ともに100ドル原油と化する。
ユーロとドルに対して、円は独歩高の為替相場となっているから、円建てでは08年10月並みのリットル53円にとどまるが、それでも到底、当時の製品小売価格に届いていない。現在の仕切り標準の原型が導入された際の小売価格は、ガソリンは160円、灯油は1缶(18L)2000円を超えていた。当時は値下がりの途上、現在は値上がりの途上という関係にあったが、原油見合いでガソリン140円、灯油1500円に届いていない現在の小売価格は、どこかで劇的な変化が起こる必然が迫っているものと覚悟すべきだろう。
劇的な必然に対して、最も鋭敏かつ大きな影響力を行使できる立場にいるのが元売子会社SS群だ。原油見合いで国内石油業全体の絶対収益が欠けている以上、それを速やかに回収する方向が必要だ。現在の仕切り標準体系で、系列SSよりも利幅が大きい精製元売の収益に寄与し、次いで自らの収益を助け、業界全体の収益を回復する。
年末相場のまま越年、動きが取れない激戦地市場を含めて、子会社SSが自ら個別の小売市場の一番風呂に身を投じ、現在の仕切り体系で、系列SSが適正な収益を上げることが十分に司能。そんなビジネス・モデルを示すべきである。子会社SSが心地良く一番風呂に入れるために、精製元売が自己責任として需給をバランスさせることである。