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小売のプロを再認識 2000年12月28日更新

今年一年を振り返って、「油屋はやはり油でもうけるべきでは」と、あらためて語る特約店がある。しかし、「そうするには、現場を知る幹部社員がいなくなりすぎた」と嘆く。
昨年は、油外収益の向上が至上命令のように唱えられているが、不慣れなアルバイトによる油外販売によるトラブルやイメージダウン、掛売りの法人客などに対する過剰な油外販売によってのトラブルも少なくない。その特約店は「過去は、熟練した社員がおり、法人などに対する油外サービスの呼吸を心得ていたが、昨今はそれをアルバイトなどに任せているために、呼吸のバランスが崩れているケースもみられる。また、長引く不況で法人や個人の油外に対する認識も変化しており、従来の信頼による商売が成り立たなくなっている」と指摘する。
また、リッター当たり数円で運営しろという元売の指数なるものも、「まやかし」と糾弾する。「現場がいくらで運営できるかは、現場で判断すべきものであり、それを元売の机上論で決めつけること自体に無理がある。元売は卸業であり、卸しは小売りに口を挟むべきではない」とも。
確かに、燃料油のマージンが圧縮している昨今では、油外収益の拡大は経営面で不可欠といえる。また、給油で来店頻度の高いSSには、車をケアする義務もある。
しかし、元売が提唱する指数にともなうコスト削減によって、熟練社員が少なからず去り、その油外販売にも支障をきたしているというのが皮肉な現状だ。
「新世紀だからというわけでもないが、ここでもう一度、現場のあり方を再考する必要があると思う」とその特約店。「元売の言うとおりにしていたら、結局、元売の言うがま      まにしかならないし、気がついたら、何もかも失っている」ということが実感してきたそうで、「今年は小売りのプロの意地を見せる年」として、燃料油収益の見直し、油外販売への取り組みの見直しに、自らを奮い立たせている様子だ。

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