2011.11.11 のニュース
石油政策は有識者と議論へ ―行き過ぎた自由化の是正を求める意見もー
エネルギー基本計画の見直しは、総合エネルギー調査会・基本問題検討委で本格的な審議に入っているが、石油政策などは、別に有識者を含めて石油業界と審議することになる。
従来は下部組織に石油分科会を設けていたが、これが廃止となったことによるが、その人選は未定である。そのメンバーによっては方向性も変わるため人選が注目される。民主党の推薦か経済産業省が選ぶのかによって審議の流れが変わってくる。
今回の総合エネルギー調査会の委員には、民主党の政治主導の立場から、幅広く意見を聞くため人選に配慮し、反原発派のメンバーも含めるなど原発推進派とバランスを保っている。内閣府のエネルギー・環境会議でも、同様に議諭に入っており、「反原発」か「原発推進」という対立でなく、これを乗り越えた国民的な識論を行なうとしているが、本音の議論となると対立局面となる。
原発政策をめぐっては対立する状況にあるが、焦点はエネルギーのペストミックス(原発のシェア)など大枠の議論となる。原発の新増設が難しいことは、各員の共通認識であ
り、電源構成でみた原発のシェアを現在の30%からどこまで引き下げるかがポイントとなる。原発を減らすが、その減少分をLNG、石油、石炭など化石燃料が当面カバーし、さらに、再生可能エネルギー(新エネルギー)を導入することになるが、太陽光発電など、そのコストが、どの程度になるのか試算する。最終的には国民が負担することになるが、その仕組み、制度設計を提示することになる。
一方、石油のエネルギーに占めるシェアは、中期的に見ても、第一であることには変わらず、当然、石油政策は議論となるが、主役は原発であり、石油は各論となる。そのため各論として有識者との間で議論することになった。石油の場合は、価格が大きく変動するが、平時では、安定供給が確保されているとの認識が定着している。石油は、資金があれ
ば、自由の輸入が可能であり、安易に供給が可能とみて、自由化が進展している。その意味では、石油政策は、自由化によって不要となっている。石油業界も自由化を求めた経緯があるが、効率化が進み、集約され強靭な石油業界の発展を期待したものの、現実は需要の減少もあり、SSが激減するなど、販売業者の経営は難しくなっている。SSが減少して過疎地問題が発生するなど石油の安定供給が問題となり、行き過ぎた自由化に是正を求める意見も出ている。今回の東日本大震災事の対応でも課題点が指摘されており、緊急時に対応した規制、石油製品の国家備蓄の積み増しなどを狙った備蓄法の改正などが検討されている。
敢えて石油については有識者による意見交換の場が持たれることになった。石油業界としては石連、全石連、石鉱連、LPG協などの関係団休が意見を述べることになる。
震災での経験を機に、災害時のサプライチェーンを維持・強化するためには平時からの対応策が必要であることが認識された。原発は縮小することで、これに代わってLNG火力が増加することになり、天然ガスの供給確保策などの要望が出され、すでに予算要求が行なわれているが、今後の石油政策の議論で新たな方針が出されるのかが注目される。