日刊ニュース

2011.12.19 のニュース

その粗利で大丈夫なのか

 事業者、SSごとに多少の温度差はあるのだろうが、ガソリンの売行きが鈍い。寒波に波長を合わせ、前週よりは今週、今週よりも来週、という具合に、じりじりと増えてはいるものの、期待された灯油も需要の最盛期の12月に在庫が増えるという珍記録に象徴されるように、極めて悪い。
 これらが集約される元売が被る売れ行き不振の影響は。さらに深刻だ。数量が不振なら、単位粗利を底上げして全体収益を支える方向へ踏み出さざるを得ないから、元売は必死になってガソリン卸価格の値崩れを支えようとしているように見える。
 ところが卸市場では、週末に打ち出した翌週方針を、その期中に修正させる動きが頻発している。「これ以上の卸価格の軟化に歯止めをかけたい、という週末の決断が週明けの市況実勢に跳ね返される。オーダーが急縮して、期中に市況実勢に合わせて下げざるを得なくなっているようだ」。こうした動きを市場筋は、このように解説する。中東産原油肌合いでの精製元売の11月ガソリン粗利は、前月比で2円弱悪化した模様で、大震災直後の4月以来の低位に沈んだ。元売の方針が需給という市場原理に押され続けている構図だ。
 一方の小売市場でも、ガソリン粗利の縮減が続いている。石油情報センターの平均数値では、9月15円、10月14円、11月13円とカウントダウンのように月1円ずつ粗利を削る履歴が残る。これに用いた11月の小売価格は143.1円。都市郊外型の激戦地の多くは140円未達であっただろうから、貴SSの1月の小職平均か138円なら、標準的な仕入れではガソリン粗利が8円となる。135円なら粗利は5円だ。
 2月にはSS地下タンク規制が発効する。3月末には平成の徳政令という別名があった中小企業金融円滑化法の期限切れが待つ。年末年始の需要を含め、これからのSS経営では、ガソリン販売量が前年比10%減という前提で、自らの損益、流動性を立案するように心がけるのが常道だ。数量を前年比プラス、前年並みという前提で立案した経営計画は、どこかに必ず無理が出ることを、我々はここ数力月、市場から学んできた。
 数量減をカバーする常道である単位粗利のリセットを、我々も元売と同様に指向したい。卸の小幅軟化を耐えて耐えて耐え続ける。年末年始に心がけたい経営指針だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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