日刊ニュース

2012.01.27 のニュース

SSはマージン減と販売減

 ガソリンのマージンを巡って論争が再燃してきた。元売のマージンが多く、販売業者が少なく不公平であるという不満が販売業者から出ているのである。元売マージンは、足元の原油CIFが56円/L、石油税が2円で、計58円となり、仕切価格は中身で71円(ガソリン税込みは125円)とすると、差し引き13円がマージンとなる。この数字は市況で反動するか、元売はマージンを確保している。一方、販売業者のマージンは10円程度であり、この金額を割るケースも多い。これも末端市況次第で地域価格差がある。
 元売のマージンが定着したのは、当初は業転市況に連動した新しい価格体系を導入したが失敗におわり、これにブランド料4円の加算が浸透したことによる。その結果、業転市況と仕切価格との間に価格差が発生し、市況の正常化を難しくしていることと、業転市場から購入できるHC、大手莱者が価格的に有利になるなどの不満が出ている。しかし個々の商取引であるため調整は難しく、平行線を辿っている。
 このように販売業者はマージン減。販売減の二重苦が続いているが、自己責任という立場から、販売業者も、ここにきてマージン確保で市況対策に取り組んでいる。その成果もあってマージン増加が見込まれる状況となっているが、販売減の影響でSSの減少が加速しそうである。
 石油業界の新年会が開催されたが、今年は年初からガソリンの販売数量が減少、SSも大幅減少が見込まれるなど販売業者にとって苦難の年になるとの悲観的な見方が多い。加えて、SSの老朽化対策で40~50年前に設置されたSSの地下タンクの補強が義務づけられている。そのための費用が補正予算で3分の2の補助金(87億円)として支給されることになったが、その申請締め切りが1月末と迫っており、申請してSS経営を継続するか否かを判断する時期にきている。対象SSの地下タンクを補強しなければ、SSの経営ができなくなる。このような法規制の強化でアメリカではSSが大幅に減少したが、日本も同じような状況となりそうである。
 さらに、補助金の支給を受け、補強工事を実施することになっても、補助金の支給は工事完了後となるため、事前に工事資金を調達することになり、資金繰りが問題となる。費用もタンクー基で約100万円となるため、SSの規模によっては500~700万円かかる。また、資金を投下しても、後に回収できる見込みがなければ、撤退の道を選ぶ販売業者も出てくる。その判断を下す時期にあり、SSは大幅に減少する。
 SS数はピーク時は6万SSあったものを昨年3月末で3万9000SSとなっており、ここ数年で半分の3万SSとなる。東京も3500SSが12月末で1089SSに減少しており、1000SSは割り込みそうである。東京の場合は土地代が高く、早めに転業、売却してうまく切り抜けた業者もいるが、赤字倒産もあり、経営継続か否かの決断は難しい。
 一方、全石連は今後5年間のガソリン販売数量は年率4.1%減となる予測を発表しており、安値で販売しても増販は見込めないため、適正マージンの確保に努めるべきであると、経営健全化を示唆している。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE