日刊ニュース

2012.02.17 のニュース

サプライチェーンの維持困難 ―石油需要の減少が続くとー

 天坊・石油連盟会長は、14日に開かれた総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会に出席して、審議中のエネルギー計画の見直しに対して石油業界としての提言を説明した。
石油連盟としての4次提言となるものである。
 提言では、①今後10~15年はすべてのエネルギーの最後の砦を果たせるのは石油・LPGしかない。事実上続いている脱石油政策を転換すべきである、②一定の石油需要がなければ石油の安定供給を果たすことはできない。石油の需要を2010年度の1.9億KLを2020年度も1.8億KL程度(10%減)に止めるべきである、③石油火力の電源構成を09年の7%を20年度には15%程度に明確に位置づけるべきである、となっている。
 これまでも石油連盟では、同じ趣旨で提言を発表していたが、今回初めて数字を示した。エネルギー計画の見直しも最終段階にあり、エネルギーミックスの選択肢として具体的な数値目標を示したものである。
 石油需要は、99年が2.5億KLでピークであったが10年には2億KLとなり20%減少した。このまま減少が続くと20年には1.3億KLとなり、30%減少することになる。一定量の需要がなければ、サプライチェーンの維持が難しくなり、石油の安定供給に支障を来たすことになる。
 需要減少に対しては、政府に対応策を要請している。具体策としては、石油の利用、推進で、①高効率石油給湯器の導入、②灯油利用システム(セントラルシステム、ホームタンクなど)の普及促進、③学校・公民館など避難所として活用が想定される公共施設へ灯油利用機器の導入促進・平時利用、④石油系の自家用発電設備の導入促進・平時の利用、などをあげている。さらに輸送部門においては、石油(ガソリン・軽油)とその他の自動車用燃料・エネルギーとの公平性を確保すべきであり、イコールフッティングの観点から天然ガスのみを優遇する過度な天然シフト政策は見直すべきとしている。
 電源構成については、石油火力のシェアを、どの水準に設定するかが焦点となる。09年の電源構成比は7%である。政府の見通しでは20年が5%、30年が2%としているが、20年は15%にすべきと要望している。現在の脱原発の流れから石油火力でカバーしているが、稼働率は17%と低迷している。老朽化した石油火力をリプレースしているが、その際にはC重油に対応して排煙脱硫装置の装備を要請している。
 今回のエネルギー計画の見直しで焦点となるのは原発の構成比をどうするかにある。足元の原発は約30%となっており、30年には50%にする計画であったものを、どこまで縮小するかにある。それを決めた後に石油、石炭、LNGの化石燃料を配分することになる。このエネルギーミックスを巡っては、まず原発のあり方で意見が大きく分かれるため、各委員に事前に報告を受けることになっており、3月にはそれを集計してから議論に入る。石連としても石油火力を15%とする案を提示したことになるが、電力サイドとの調整では燃料コスト、環境問題(CO2)も絡むため、問題点も多い。また、石油のコストは他燃料に比べると高くなるため、どこまで政策面で誘導できるかがポイントとなる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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