日刊ニュース

2012.02.22 のニュース

石連、エネ政策見直しで提言 ―数値を提示して実現を狙うー

 石油連盟は、エネルギー政策の見直し議論の状況下で、石油の安定需要確保のための4次提言をまとめ、エネルギー基本計画に織り込むよう政府、関係者に働きかけをする。
 具体的な提言は、①サプライチェーンを維持するためにも石油の需要減少に歯止めをかけ2020年度には1.8億KL(2010年度は約2億KLであるため8%減)を維持する、②電源構成で石油火力を現行の7%から15%に引き上げる、と数値を示しており、その実現を期すことになる。
 これまでの揚言では、石油が供給安定性に優れており、東日本大震災における緊急時対応でも2週間で復旧しており、国民生活を支える基幹エネルギーとして位置づけるべきであるとして、そのためには、①石油はエネルギー安定供給のベストミックスを確保すべきである、②石油のサプライチェーンの維持・強化を図るべきである、③石油火力の電源構成比を上げるべきである、などの基本理念の要望を行なっていたが、4次提言では具体的な数値を示した。
 総合エネルギー調査会の議論も中間とりまとめ終盤に入り、エネルギー需給見通し、電源構成など数値を識論する段階となってきた。
 石油の需要は、2010年度が約2億KLであるが、現状のままでは2020年度に1.3億KLまで減少することになり、サプライチェーンの維持が困難となるため、1.8億KLを維持すべきとしている。そのためには政府が、脱石油政策から一定量の石油を使用する政策にあるため、具体的にSSの過疎化対策、などを講じるべきとしている。
 最大のポイントは、原子力発電の位置づけとなる。54基(4900万KW)ある原発が4月には稼働がゼロとなることが予想されている。電源構成で原発は29%を占めるが、これがゼロとなった場合の不足分を石油、石炭、LNG火力と節電でカバーすることになる。
 電力の供給不足で、昨夏は関東地区で計画停電を実施した。今夏は原発の全面停止でより厳しい状況となる。昨年の電力不足は関東地区が主であったが、今年は原発の停止によって、原発構成比の高い電力会社が電力不足となるなど、全国各地での発生が予想される。電力各社間の融通も難しくなるため、ますます化石燃料の火力が増加する。
 石油火力については、再稼働することで足元の石油の消費が急増している。石油火力の電源構成は、2009年度の実績は7%となっているが、現行の見通しでは2020年で5%、2030年度には2%に減少する。このように減少を続ければ、石油業界としては重油専用タンカーの廃船、重油生産装置の縮小、原油の手当ての変更などで対応せざる心得ず、急に供給増の要請があっても対応が難しい。平時から一定数量の確保が約束されなければ、緊急時には対応できない。そのためにも2020年度には、石油を電源構成で15%程度確保するよう要請している。
 石連としては、現在の石油火力の設備容量は4600万KWあるが、稼働率が17%と低いため、既存の石油火力を有効活用すべきであると主張している。また、老朽化した石油火力をリプレースする時にはHSC重油が使用できるよう排煙脱硫装置を設置すべきとしている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
〒112-0004 東京都文京区後楽2丁目22-3
TEL:03-3814-4728
FAX:03-3814-4745
ユーザーID:
パスワード:
ログインする
e-BISTRADE