日刊ニュース

2012.02.29 のニュース

販売減少で業転玉が出回る ―系列内業転を確保の動きもー

 ガソリン市況は、仕切価格の値上げを受けて、販売業者がユーザー転嫁に取り組んでいる。今回は仕切価格の値上げが大幅であることと、先物、業転市況の値上がりが大幅であるためHC、量販店の値上げが先行している。それでもHCは133円/Lであるのに対して、街道沿いSSのボトム価格は143円であり、10円の価格差が生じている。
 仕切価格は業転市況に比べて約5円高が相場となっている。販売業者は「系列仕切価格は、ブランド料として4~5円高となっており、これを是正しないと、系列業者は、常に高値で仕入れることになる。これではHCなどとは競争にならない」と反発、ブランド料の縮小、廃止を要請している。だが、元売も現在のブランド料の加算方針の採用で、マージン確保が定着した直後であるため変更することはなく、調整は難しい。
 そのため系列業者は防衛策として安値の業転玉を手当てする努力をしているケースも多い。しかし、業転玉を購入していることが元売に判明すれば、元売からの圧力がかかるためリスクも伴う。だが、一定数量の業転玉を確保することは、やむを得ない経営判断となる。アンケート調査では、販売業者はかなり業転玉を購入しており、業転ルートも確立されていることになる。元売も業転玉を容認しているため、業転玉の扱いは否定できない状況にあり、最終的には元売と販売業者との力関係となる。高い仕切価格で仕入れていても赤字で倒産すれば終りである。HC、量販店と販売価格で競争するとなれば、仕入れ価格の差はSS経営にとっては、大きな問題となる。
 業転業者から系列業者への売り込みが一般的であるが、同系列内の大手業者からの売り込みも散見される。大手販売業者、商社系は、一定数量の業転枠を持っており、本来は他系列の販売業者に売り込みシェアを確保しているが、販売数量が減小すれば、同系列の販売業者にも売り込むことになる。他系玉を購入するよりも系列販売業者から購入した方が、安心であり、系列内のシェアが確保されるため、双方で容認すれば商取引きは成立する。
 元売も需給を常にタイトにすることは難しく、余剰玉を業転市場に流している。最近のように販売減が続き、設備が過剰となっていることから業転玉が市場に出回る状況にある。エネルギー供給高度化法で設備処理が進むが、その効果が出るのは2014年4月以降である。逆に現在停止中の2製油所が4月に再稼働となると供給増も予想され、業転玉の出回りが多くなりそうだ。元売も供給増となり業転が多く出回れば、系列仕切価格が下落することは分っているため、需要に見合った生産で対応するが、販売が減少を続ける状況では需給調整は難しい。
 足元では、HCなどが安値の業転玉を購入して大量販売をする商法での独り勝ちが続き、系列SSが廃業に追い込まれている。このような状況のなか、系列SSが価格面において正面から勝負できないことから、競争力のある価格差で対抗するために業転玉を確保・販売することで生き残りをかけて戦う商法が展開されている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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