2012.03.07 のニュース
業者と元売がマージン巡り対立 ―値決めで元売が有利と反発―
販売業者と元売は、ガソリンなどの石油製品のマージン確保を巡って対立している。元売の仕切価格は、マージンを確保できる水準で設定されているが、販売業者からは「元売はガソリンなど石油製品のマージンを確保して黒字であるが、販売業界は価格競争が激しく適正マージン確保をできず、赤字が続いているSSが多い」という反発が出ている。
元売サイドは、JX日鉱日石エネルギーの発足で5社体制に集約され、価格競争が自粛されることになった。新しい秩序が形成されたことでマージン確保を可能にしたと指摘されている。さらに仕切価格の値決め方式を数回改定したことで、石油製品マージンを確保できる体制を工夫、需給も調整したことが成果をあげたことになる。その結果、同じ石油業界でも元売は黒字、販売業界は赤字という区分けとなっており販売業者から不満が出ているもの。
販売業界は、自由化を機に異業種であるHCの進出、セルフSSの増加などで価格競争が展開され、経営が安定しないことからSS数は大幅に減少して過疎化問題まで発生している。東日本大震災以降、石油製品の安定供給確保のためにSSの役割の重要性が認識され、一時はマージンを確保できたが長くは続かなかった。
このような状況に対して、政策面からの支援策を期待することは難しく、販売業者の自助努力しか方策はない。そのためにはガソリン販売で適正マージンを確保するか、油外収益の向上などで増益を狙うことになる。元売のSS戦略では他の油外収益の向上を指導しているが、やはりSSはガソリンが主力の販売商品であり、ガソリンでマージンを確保することが基本となる。ガソリン需要は、今後も減少することが明らかであるため、ガソリンのマージンを増やさないとSS経営の立て直しは難しい。
元売も販売業界と同様に販売減という厳しい状況が続くが、石油製品のマージンを確保しており、ここにきて黒字体制が続いている。決算でも石油製品マージンの増減をポイントに業績の分析を行なっている。以前は石油製品のマージンを数字で示すことはなかったが、最近は、原油価格CIFと卸値の差であるマージン確保を重視してグラフに示している。
新体系を打ち出した当初は週決めの改定幅を事前に公表し、透明で公正であるとしていた。だが、改定幅が事前に判明すると、仮需要、買いだめが発生するため不利になるとの判断から公表をやめた。現在は、月末に当月の平均した仕切価格の変動幅を公表している。また、週決めで実施された仕切価格は、当初は業転市況にリンクしていたが、最近は業転市況も考慮するが、原油価格の見通し、他社の動き、コスト(ブランド料)など総合的に判断して通告されており、販売業者からは不透明となっているとの批判が出ている。
仕切価格の変動は、業転市況などの動きを反映するが、原油価格の動きを先取りして打ち出しており、販売業者との思惑とでは違いが出る。市況は、コストの変動のみでなく、需給状況、原油価格の見通しなどの要因も影響する。
販売業者は仕切価格の値上げを機に、これまで確保できなかったマージン分を加算してユーザーに転嫁することになっており、需給状況をみながら一気に転嫁する方向にある。