2012.03.06 のニュース
まず必要なのはSS事業収益
SSはいま、累計10円を超える大型・連続の卸値上げに直面している。大勢のSSは、週末ごとの大幅値上げの後を追っているが、小売市場の動向をにらんだ転嫁不足、小数点単位での卸値上げに対して、円単位で整合性を取る際に、取り残しが発生し、その累積額が粗利を大きく圧迫する事態を招いている。
これ以上、その取り残しを大きくするわけにはいかない。周回遅れになりつつある転速度を、一段と加速し、追い付かなければならない。
石油販売に携わる経営者と社員の老後の生活を支えるために、都道府県別や広域ブロック別に設立された石油業厚生年金基金。現在18の年金基金があり、基礎年金に企業年金を上乗せ支給する母体となっている。個別に信託銀行や生保を主幹事に位置付け、事業主と社員が折半で拠出した原資を預かり、それを運用してきた。
1990年前後のバブル崩壊後の運用環境の悪化、つまり急激な株価下落と金利低下の際に危機が訪れたか、当時の約定金利は5.5%であり、元本保証でも年7~8%台の利回りの商品が溢れていたそれ以前は、より手厚い福利厚生の一翼を担ってきた。この5.5%だった利回りについて、多くの年金基金は3.5%内外へと低下させながら、我々の老後を支える努力を継続してきた。そこに発生したのがAIJ問題だ。8つの石油基金で総額268億円という委託額が報じられている。
全石連では、この直前に、総務部会の下部に年金基金プロジェクトチームを発足させ、運用環境の悪化など、18年金基金共通の課題の協議に着手していたが、その矢先に大きな爆弾が破裂する事態を迎えた。
年金基金で生じたロスは、一義的にはこれを事業主が埋める。ロスを埋めたうえで、年金基金からの離脱、基金自体の存廃に着手できる構造という。
AIJ問題の帰すうは当局の手に委ねられることとなろうし、年金基金の役割・評価は、短期・単眼的に捉えるべきではなく、本来は中長期、複眼的に腰を据えて見なければならない類の問題だ。
ただし、SS事業は異なる。社員の生活を守り、事業収益を向上させる。その事業主としての義務を果たすためにも、周回遅れを取り戻し、自ら必要となる事業収益の再計算を行うことか先決であろう。