2012.03.16 のニュース
ガソリン仕切は連続値上げ ―ユーザー転嫁は浸透へ―
ガソリンの仕切価格は2月11日(土)から5週間にわたり連続して値上がりとなった。累計では約12円50銭の大幅値上げとなっている。仕切価格の値上がり状況をみると2月11日から約1円50銭、18日から2円、25日から3円、3月3日から3円50銭、10日から2円50銭の各値上げとなった。
一方、末端市況は、街道沿いでは1月末で138円程度であったものが、2月に入り140円、143円、148円、3月で152円、ここにきて155円に乗せており、その間、17円の値上がりをみせている。仕切価格の値上げ分はユーザーに転嫁したことになる。1月時点で下げ過ぎており、コスト割れの状況にあったため、今回の値上げでコスト割れ分を回収したことになる。
また、石油情報センターの調査価格は、2月13日(月)までは143円(全国平均)であったが、20日に144円、27日に146円、3月5日に149円と連続して値上がりした。12日には153円となり、累計では2月13日の143円と比べると10円の値上がりとなる。仕切価格の12円50銭に比べるとまだ値上げ幅が残っていることになる。
この調査価格は、月曜日に調査を実施、その結果を水曜日に発表する。一方、仕切価格の改定は金曜日に通告して土曜日からの実施となる。だか、実際のユーザー転嫁は、即土曜日からの実施ではなく、周辺の価格調査や準備などもあり、水曜日頃に遅れる。そのため、末端市況に浸透するのは、仕切価格の値上げから1週間程度遅れるケースが多い。調査価格は、仕切価格の値上げに比べると遅れることから、次週も値上がりが見込まれる。
一連のガソリンの値上がりは、原油価格(中東産)が110ドル/バーレルからから122ドルと、10ドル以上高騰したことにある。高騰の要因はイランの核開発疑惑門題で、アメリカが欧州、日本に禁輪措置を要請、イランがホルムズ海峡を封鎖すると牽制し緊張感が高まったことにある。イラン問題以前にも、エジプト、リビアの政変などの混乱があり、原油価格は高値で推移していたが、原油の供給には支障をきたすことなく推移しており、国内では原油価格に対する関心は薄かった。
しかし、ガソリンが150円を超えることになり、ユーザーも高値を意識する状況となってきた。これが160円を超えることになれば、国会などで取り上げられることになる。租税特別措置法では「ガソリン販売価格が160円(総務省調査)を3ヵ月連続して超えた場合は、従前の暫定税率分(25円/L)を減税する。その後連続3ヵ月にわたり130円を下回った場合は元の税率に戻す」ことになっているため政治問題となる。
この問題が議論された平成22年当時は、ガソリンは125円程度であった。暫定税率は廃止されたが、この分を減税することなく本則に組み入れたため、ガソリン税は据え置きとなった。租税特別措置法も、ガソリンが160円を超えることはないと予想してのものである。
しかし、仮に160円を超えても、財政難を理由にこの規定を発動することはないとみられ、そのための措置が講じられる。最近のガソリンの値動きは、値下がりも値上がりも早く、原油価格の動きに直結してきた。