2012.03.26 のニュース
若者気質踏まえた人づくり
新卒者を社会に迎える季節。ただ高卒、大卒ともに3月末でも1割弱は未就というのが例年の傾向である。また、一度就職しても勤務し続けているとはいえないのが実情。高卒者の離職率は1年目2割、2年1割、3年1割、3年間で約4割にのぼる。数年前までは5割程度だったのでやや定着率が上かっているものの、辞職・転職は特殊なことではない。大卒者も1年で1割強、2年、3年で各1割程度、3年間では約3割が離職している。翻って石油販売業経営実態調査によると、1SS当たりの平均従業員数は役員・店主が0.9人、正社員が2.8人、派遣、契約社員、パート、アルバイトが2人の合計5.7人。この5年間、大きな変化は見られない。一方、平均年齢は所長クラスが47.5歳、一般社員が40歳。世代間ギャップを埋める若年層の起用は大事だ。
人事異動が活発化する時期でもある。新卒者を採用できたSSも、学生バイトの入れ替えが生じたSSも、いち早くスタッフの戦力化を図りたいのは同じこと。ただ、当世の若者気質について「クルマヘの興味が薄い、興味がないのに従事しようとする若者が少なからずいる」と指摘するSS幹部が多い。出社時間は始業数分前、退社時間が来ればすぐにいなくなる。運転免許を取得していなくても不思議ではないし、オートマ限定も珍しくない。どちらかといえば女性のほうが根性がある場合が多いという声も聞く。
これに対しSS現場に精通した経営コンサルタント氏いわく、まずは我々のビジネスがなんなのかを教えることが先決。作業云々の前に、働く目的を理解させる。育ってきた環境が以前とはまったく違うのだから、わかっていて当然と思うのは間違い。教える側が目線を下げる。いらっしゃいませ、ありがとうございますの意味、お客様があって会社が成り立ち、給料を得られるという基本を教えなければ、戦力となる「人材」にはなりえない。クルマに興味がなくてもいいが、仕事やお客様に興味を持たせることは必須と言い切る。
エコカー増加、法人車両削減、異業種ライバルとの油外競争熾烈化、そこに卸価格の大幅値上げが続き、経営環境は厳しさを増している。お客様にとっては、若手社員もアルバイトもスタッフであることに変わりない。若者たちを育てる仕事には、SS業の未来がかかっている。