日刊ニュース

2012.03.26 のニュース

電源構成、石油の議論は先送り ―原発集中で関心は薄れるー

 総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会でエネルギー基本計画について審議されているが、石油については議論されずに今日に及んでいる。天坊石油連盟会長は「原発問題が中心であり、石油の議論は行なわれていない。各委員に対しては説明を行ない、石油の重要性、東日本大震災での対応などから理解を得ているが、具体的な数字の議論は不透明であり、今後の議論を待つことになる」と述べているが、時間切れで先送りになるとの見方も出ている。
 焦点となるエネルギーの選択肢での電源構成での議論は、原発が中心となることは予想されたが、第1回目から対立が続き平行線となっている。議論も一巡したとみて委員に構成比での回答を求めたが、ゼロから35%と大幅な意見の違いがあり調整が難しい。結局、複数(3件~4件)の選択肢を提示することになった。これまでも原発政策の議論がほとんどを占めているため、石油など化石燃料の議論は後回しとなっている。
 石油については、火力発電の発雷電力量に占める石油の比率を求めているが、その回答では1%~10%となっており、大勢は3%~5%と低い。火力発電という枠で捉え、石油、LNGなど個別の数字を提示していない委員もあり、関心は低いという実態である。石油に対しての問題意識が薄いこともあるが、議論の大半が原発問題に集中していることが問題であり、その原発も構成比がまとまらないことには議論が進まない。そのため化石燃料(LNG、石炭、石油)についての議論は、今日まで先送りとなっている。
 石油連盟では、①電源構成で石油を15%(現行7%)とする、②石油の需要は現行の1.9億KLを維持する政策を推進する、と提言し、この前提なしにサプライチェーンは維持できない、と要望を行なっている。しかし、原発問題に時間が費やされていることと、委員にエネルギ一全体をみる専門家が少ないこともあり、石油の安定確保策などの議論は行なわれていない。まず、原発のシェアを決めることが先決となるが、複数の選択肢が出されることになり、石油の位置づけの議論はその後となるが時間的にも難しい。
 次回は27日に開催され、再度、同じテーマが審議される。週1回の開催となるが、電源構成、一次エネルギー供給の構成試算を今月中に行ない、復数の選択肢を決定する。4日後半に経済影響分析と、選択肢ごとに必要な政策手段も含め総合的に検討し、その後5月半ばを目途に、エネルギー・環境会議に提示する選択肢案を決定することになる。
 このようにみると時間的な余裕はなく、石油についての議論は難しいようである。電源構成での石油の扱いとなると電力会社と石油会社の商業ベースの取引の問題となる。石油のコスト、安定供給、環境問題などを考慮し、電力会社が石油を選択するか否かが焦点となる。
 これまで脱石油、原発推進を目標に取り組んできたが、福島原発事故を機に石油火力にシフトしており、現在は石油が大幅増で供給されている。石油の受入からみると、要望通りの15%程度となっている。原発の再稼働問題もあり、再稼働する目途がたつのか、再稼働が難しくなるのか、その見定めも今後の議論に大きく影響する。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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