2012.03.29 のニュース
独禁法執行強化に期待
2010年1月、不当廉売など不公正な取引に課徴金を課す改正独禁法が施行された。ルールなき市場競争によって経営が疲弊していた中小小売事業者の多くがこの法改正による効果を期待した。
「これで公正な競争の土俵ができる」と。
しかし、それから2年。我々石油販売業者はその法改正による効果が見えてこないことに苛立ちを感じている。公平・公正な市場競争への改善を期待して急増した不当廉売申告も、いまは徐々に減少している。苛立ちの原因は、廉売業者を申告しても公取委からは「注意しました」か「措置を採りませんでした」しか出ないことである。
いまでは週に1回、仕切価格が通知され、ボリュームインセンティヴなどもある程度正確な情報として業界内で知られている。しかし、周辺の一般的なSSの仕入価格よりもさらに安い小売価格が各地にみられ、これを申告しても「注意」にしかならず、同じ業者が繰り返し「注意」を受けても、それ以上の厳しい措置を受けることがない。
納得のいく市場競争ができるのなら、同業者を訴えるようなことはしたくない。しかし、あまりにも不可解で不公正とみられる取引が行われていることに対しては、我々石油販売業界は法に頼るしかなく、仕方なく申告に踏み切った事案だ。
このため全石連は改正独禁法の実効性を高めるため、①不当廉売の判断基準である総販売原価の考え方の見直し②仕入価格などの調査に際し被疑事業者への仕入伝票等の証拠提出の義務化③「注意」を繰り返す事業者への「累積点数制」の導入④「注意」を受けた事業者名の公表⑤公正取引確保の観点から業界の実態調査の実施と適切な改善指導の実施―の5項目を要望している。
先ごろ行われた石油流通問題懇談会では、これらの独禁法違反行為に対する執行強化の要望について、公取委幹部からヒアリングが行われた。しかし、大畠章宏会長をはじめとする多くの国会議員がこの公取委・の対応に疑問を投げかけ、4月に再度、報告を受けることにした。
長年にわたり要望しそして実現した独禁法改正である。この改正が本来の効果を上げることは、まじめに経営を続けてきた石油販売業者の強い希望である。大畠会長をはじめとする同懇談会の支援を得て、もう一度、公取委の防止への取り組みに期待したい。