2012.03.30 のニュース
ガソリン仕上げの時期に 短期間で大幅転嫁が浸透 ~需給緩和を懸念するむきも~
ガソリン市況は連続して値上がりしてきたが、漸く仕上げの時期となったようだ。24日からの仕切価格の値上げが20銭、60銭、1円と各社にバラツキがあり、小幅な値上げとなった。ここへきて、JX日鉱日石エネルギーの仙台製油所が操業を開始し、また、コスモ石油の千葉製油所も近日中に操業するとなれば、需給緩和を予想する観測もあり、今後の市況動向が注目される。今回の一連の値上げ騒動をみると、仕切価格が2月11日から連続して値上がり、3月末までの短期間に大幅な値上げで推移したことは初めてである。ガソリンが高騰して160円/L相場に迫り、ユーザーからの反発もあろうが、今のところ問題もなく順調に転嫁されたことになる。2008年夏には180円台の高値水準となったこともあり、今回は販売業者もユーザーも冷静に対応しているようだ。
石油情報センターの週動向調査(26日)によると、ガソリンの平均価格が158円となり、前週の156円に比べて2円の値上がりとなった。これで値上がり直前の143円(2月13日)から累計すると、15円の値上がりとなった。
仕切価格は2月上旬で値下がりしたが、11日から累計16円程度の値上がりとなり、末端市況は15円の値上がりで未達分が1円となる。これは、あくまで試算であるが、安値地区は大幅な値上がりを見込んでいる。
いずれにしても毎週3円以上の大幅な値上がりが短期間でユーザーに転嫁されたことになる。
一方、原油価格はWTIが106~107ドル/バーレル、中東産が120ドル台、為替が82~83円/ドルで落ち着いている。この市況で推移すれば、国内市況も安定する方向にある。原油はイラン情勢、アメリカの景気動向によって影響を受けるため、見通しが難しい。アメリカではガソリン価格の変動が物価、景況に反映するため、価格に対して過敏な傾向がある。
国内では、160円相場に迫ったことから販売減が懸念される。需給面では低在庫で推移していたが、JX日鉱日石エネルギーの仙台製油所の操業が開始されたことから、緩和の見方も出ている。そのため、これから下落するとの思惑が先行している。