日刊ニュース

2012.04.04 のニュース

エネルギー白書 2011年版 一般ガス事業

①消費の傾向
 一般ガス事業における消費は、これまで家庭用・工業用・商業用消費のいずれも着実に増加してきました。その構成の推移をみると、かつて、消費の中心であった家庭用消費のシェアは、1990年代以降、5割を下回る一方、工業用・商業用消費のシェアが増大しました。
 また、近年の販売量の推移をみても、1999年度から2009年度までの10年間で家庭用都市ガス販売量が1.04倍とほぼ横ばいである方で、工業用、商業用はそれぞれ1.9倍、1.2倍に拡大しており、その傾向が現れました。
 消費増加の要因をみると、都市ガス需要家件数の約9割を占める家庭用では、供給区域の拡大とともに需要家件数も伸び、消費の増加につながりました。一方、工業用では、LNGを導入した大手ガス事業者における産業用の大規模・高負荷需要(季節間の使用量変動が少ない等)を顕在化させる料金制度の導入等により、1980年以降、大規模需要家への天然ガス導入が急速に進んだことに加えて、近年のガス利用設備に係る技術革新の進展や地球環境問題への対応の要請等により、1件当たりの消費量が急激に伸びたことが大幅な消費の増加につながりました。

②供給の動向
 一般ガス事業における原料は、その主体を石炭系ガスから石油系ガスに、石油系ガスから天然ガスヘと変遷を遂げてきました。天然ガスは、一部の国産天然ガスを除き、その大部分が大手一般ガス事業者を中心としたLNG輸入プロジェクト(海外の産出先との長期契約)により調達されてきました。原料に占める天然ガスの割合は年々高まってきており1980年代に入って50%を超え、2009年度には、約97%を占めるに至りました。
 このように天然ガスの導入は、大手一般ガス事業者を中心に拡大しました。現在210事業者中208事業者が天然ガスを中心とした高カロリー化を実施しました(2010年度実績)。
 また、一般ガス事業者の供給ガスの調達方法としては、大手事業者等では上記のように海外からLNGを調達していますが、石油系のガスを主な原料としている事業者では石油元売りからLPガスを調達しています。他の一般ガス事業者や国産天然ガス事業者等から卸供給を受ける場合もあります。
 一方、ガス供給インフラであるパイプライン網については、我が国の場合、これまで消費地近傍に建設したLNG基地等のガス製造施設を起点としたパイプライン網となっており、一部の地域において、国産天然ガス事業者による長距離輸送導管や大規模消費地における大手一般ガス事業者の輸送導管はある程度発達していますが、基本的には、消費地ごとに独立したパイプライン網となっています。
⑧価格の動向
 都市ガスの小売価格は、オイルショック後に急上昇しましたが、1983年度以降、低下傾向にありました。規制料金である都市ガス小口料金部門においても、1995年の制度改正後、大手事業者が中心として数度の料金改定が実施され、価格が引き下げられました。また、都市ガスの平均販売単価(㎡当たりの販売価格)は、1995年から2005年度まで、LNG輸入価格の上昇傾向等を受けて原材料費が上昇しているものの、労務費等のコスト削減努力や大口需要家の増加等を背景に低下傾向をたどりました。その後、2006年以降、LNG輸入価格大幅の上昇の影響を吸収でぎず、都市ガス価格が上昇傾向に転じておりましたが、2009年には、LNG輸入価格の下降により都市ガス価格も減少傾向に転じました。
 ガス料金を国際比較すると、小売自由化後は内外価格差が縮小したものの、我が国のガス料金は欧米先進国と比べ、家庭用、産業用ともに約1~3・4倍程度となりました。これは、天然ガスの輸送形態が複雑なこと(LNGで輸入後、再気化)、需要家1件当たりの使用規模が欧米の3分の1から4分の1と小さいこと、及び導管埋設の施行環境(特に市街地における工事帯延長の確保の問題、他埋設物との輻輳による導管の浅層埋設の困難等)が厳しいこと等の理由によります。
(3)簡易ガス事業
 簡易ガス事業における消費は、1970年の制度創設以来、家庭用を中心とした消費が着実に増加してきました。簡易ガス事業は、LPガスバルクによる供給設備やLPガスボンベを集中する等簡易なガス発生設備によるガス供給であるという特性から、その用途として家庭用が約95%を占め、残りが商業用等の用途となりました。また、簡易ガスの料金はオイルショック後に急上昇し(1986年426円/㎡)、1987年に低下して以降(1987年372円/㎡)、2004年までほぼ横這いで推移してきましたが(2004年382円/㎡)、2005年以降上昇してきました(2011年3月末現在471円/㎡)。簡易ガス事業は、2011年3月末現在、事業者数で1515事業者であり、その供給地点群数は7712地点群(計約190万地点)に上りました。2010年の全国の1地点あたりの年間平均販売量は約12㎡/月でした。
(4)ガス導管事業・大ロガス事業
 2003年のガス事業法改正により、一般ガス事業者以外で一定規模以上の導管を維持・運用してガス供給(大口供給・卸供給・託送供給)を行なう電気事業者あるいは国産天然ガス事業者等が「ガス導管事業者」として位置づけられ、新たに託送等の役割を担うこととなりました。ガス導管事業者のように一定規模以上の導管を維持及び運用していない主体で大口供給を行なっている事業者を「大口ガス事業者」といいます。
 ガス導管事業者は、2011年3月31日現在、事業者数で21事業者であり、ガス導管事業者及び大口ガス事業者による大口供給は、30事業者258件(許可、届出ベース)となりました。
(5)LPガス販売業者
①需給の動向
 LPガスは全国世帯の過半数で使用されているほか、大部分のタクシー等の自動車用、工業用、化学原料用、都市ガス、電力用等幅広い用途に使われる等、国民生活に密着したエネルギーです。LPガスは、プロパンガスとブタンガスの2種類があり、プロパンガスは主として家庭用・業務用、ブタンガスは主として産業用、自動車用に使用されてきました。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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