日刊ニュース

2012.04.05 のニュース

収益が支える石油とSSの力

 先週末から国内向けの中東産原油価格指標のドバイ原油が1ヵ月ぶりに120ドル割れ。石油製品の卸指標も値下げアナウンスが相次いだ。原油相場は昨日から反騰に転じたが、それでも3月中旬の最近の高値比では2円強の値下がり、前週平均比でも0.2円の小幅値下がりで、為替もコスト安となる円高方向へと振れ上昇一途だった製品相場の変調につながっている。
 7~8週連続で値上がりを示した卸相場は、年度が改まると同時に軟調気配が漂っている。高値敬遠型の買い控えが生じつつあるのも確かだ。しかし、SSの生命線である小売市況は、卸高に対して周回遅れにあることを忘れてはならない。軟調アナウンスに同調し、売れ上げ不振を挽回しようとすれば、総崩れとなることを肝に銘じたい。と同時に、わずかであっても縮小気配の出ている系列仕切りと業転市況との格差を注視しよう。
 我々の収益を脅かす最大の元凶は、需給が緩んだ市場の出現だ。需給が緩めば、買い手優位となるのが市場原理である。
 国内製油所の全能力日量450万バーレルのうち、JX仙台の14.5万バーレルとコスモ千葉の22万バーレルの計36.5万バーレル、8%強が大震災以降、丸1年稼働を停止していた。36.5万バーレルとは8割稼働として年1700万KLの原油処理量を指す。得率3割とするとガソリンはうち500万KLだ。
 2011年度にこの2製油所が正常稼働していたとすれば、ガソリン国内市場の需給は現状よりもはるかに緩和され、業転市況は系列SS向け仕切りに対して、一段と優位性を高めていた、という仮設が浮上する。仙台のすべてと千葉の半分がこの1力月内に再稼働を果たし、2製油所ともに戦線復帰した。丸1年ぶりの復帰は当事者と地域、系列にとっては喜ばしいことではあるが、緩む方向にあった全体のガソリン需給の近況に、さらに拍車がかかる懸念が浮かぶ。
 大震災で、縦横無尽にエネルギーの基盤を支え得る石油の力が再評価された。需給が緩んだ際には速攻で需給調整を行うなどして、世間が認めた石油の力を、元売はさらに高めてほしい。それか自身の収益を損なわない道だ。
 大震災で、お客様の生活と地域を支えるSSの力が再評価された。経営を保持する基盤である収益確保こそが、その声に応える道だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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