2012.04.05 のニュース
2月閏年とC重油の増販で ―燃料油販売、23年度通期はプラスもー
石油統計速報によると2月の燃料油販売は1780万KLで前年同月比で7.3%増と大幅増となった。今年の2月は閏年で29日間となり、前年に比べ1日多いため、電力用C重油の増販と、ナフサを除く各油稲は増販となっている。実需ペースで前年比の判断をするには1日分(約3%)を調整してみるべきである。2月の増販で、平成23年度の4月から今年2月までの燃料販売の累計が前年同期比で1%減の微減となり、3月も増販となれば通期では横ばいか、微増が見込まれる状況となってきた。
2月の油種別販売をみると、ガソリン販売は453万KLで前年比で3.7%増、灯油は329万KLで12%増、軽油は281万KLで3.8%増、A重油は168万KLで3.2%増、C重油は256万KLで71%増となっている。ナフサが355万KLで13%減となった以外は、各油種とも増販となっている。
ガソリン販売は、東北地方の高速道路の無料化や、新車販売が好調であることと閏年による1日の増加でプラスとなった。エコカー減税の効果で新車の販売台数は増加しているが、ガソリンの実需要(1日分減)でみると微増となる。灯油は寒波の襲来で気温が低かったことで、大幅な増販となった。軽油、A重油も同じ要因でプラスとなった。
C重油は、256万KLで71%の大幅増加となった。そのうち、電力用(10社ベース)は、重油の受入が155万KL(前年は58万KL)で165%増、原油は158万KL(47万KL)で234%増と大幅増となっている。電力需要は、小幅な減少となったが、原発が定期点検の影響で91%の大幅減少となり、これを石油、LNG、石炭火力でカバーしているが、その中でも石油(重油、原油の生だき)が急増している。
現状では原発の再稼働が難しい状況にあり、全ての原発が停止となることも予想される。そのため今年の夏は電力不足が懸念され、計画停電が実施となれば、石油火力は増加するためC重油の増販は必至である。電力各社では、原発の停止により化石燃料での発電が増加するため、原発に比べるとコスト高となる。東京電力では4月から大口向けの電力料金の値上げを実施することになったが、他電力会社も電力料金の値上げに追随することになる。
エネルギー基本計画の見直しが審議されているが、原発は縮小する方向で進められている。石油業界からは、平時から石油火力の一定需要を確保し安定稼働させるべきと要望しているため、今後、電源構成での石油のシェアが焦点となる。
23年度でみると、昨年4月から今年2月までの11カ月間の燃料油販売の累計では、1億7724万KLとなり、前年比で1%減となっている。そのうちC重油全体では32%増となった。電力用が増販となったが、工業用は燃料転換で低迷しており、その他の油種はマイナスとなっている。平成23年度は、C重油の大幅な増販と、閏年により1日増えたことで、これまでの減販をカバーして横ばいとなりそうである。昨年3月の燃料油販売は、東日本大震災の影響で5・3%の減販、ガソリンも4・5%減となっており、今年3月はガソリン、C重油、灯油などは前年比では増販が見込まれそうである。