2012.04.12 のニュース
新年度に期すべき事
11年度の原油価格はバーレル110.7ドル(日本向けの中東産指標)、リットル55.6円平均という過去最高値で幕を閉じた。10年度は84.3ドル、46.0円だったから、ドル建てでは31.3%、26.4ドル高、円建てでは20.9%高、9.6円高。この格差は為替相場の相違による。
記録的な原油高の中でのSS業況はどうであっただろうか。11年度の小売価格平均はガソリン147.2円、灯油91.8円。前年度はガソリン136.2円、灯油80.2円だったから、ガソリンは11円高、灯油は11.6円高になる。一見、原油見合いで収益が向上したように見えるが、小売価格から消費税を除いて比較すると、様相が異なってくる。消費税別での11年度小売価格はガソリン140.2円、灯油87.4円。前年度比でガソリン10.4円高、灯油11円高に修正される。それでもまだ、原油見合いでは収益が向上しているように見えるが、卸価格の要素を含めると、様相がからりと変わる。
11年度の平均卸価格はガソリン128.5円、灯油は74.4円。前年度比ではガソリンは10.8円高、灯油は9.3円高である。即ち、SSのガソリン粗利は、卸10.8円高に対して小売10.4円高となり、0.4円の転嫁不足を丸1年間抱え続けたことを意味する。11年度のSSガソリン収益は全体で228億円を失った勘定だ。卸9.3円高に対して小売11円高となった灯油のSS粗利が改善したのとは対照的に、ガソリンの採算性は総じて悪化した。もともとのガソリンSS粗利がリットル10円内外のものが0.4円悪化した意味は重大だ。
都道府県別ではさらに明暗か分かれる。鳥取は1.8円、北海道は1.6円、富山と兵庫は1.4円、SSのガソリン粗利が縮小している。1円の悪化は月販100KLSSで年120万円の収益喪失を意味するから、鳥取の収益悪化は年216万円にもなる。
大震災の混乱に始まり、国も民間も、全石連もその対応と復旧・復興に走り続けた11年度。一方でじりじりとガソリン内需は縮み、SS収益は傷んでいった。内需減に対する防衛の難易度は高いが、収益防衛は我々SSの自助努力に負うところが大である。まずSS自らが適正収益の回復に向けて、踏み出す新年度にしたい。卸値下がりアナウンスが相次ぐいまが、その第一歩だ。