2012.04.12 のニュース
ガソリン下落を懸念 ―値下げせず市況維持に努力をー
仕切価格が小幅値下げとなり、ガソリン市況は下落傾向をみせている。仕切価格は、この2週間で1円/L程度の値下がりであるため、すぐさま値下げすることなく、ここは市況維持に努めるべきである。
みずほ総合研究所の週動向調査(2日)によるとガソリンの全国平均価格は158円30銭となり前週に比べると70銭の値上がりとなっている。東京、神奈川などの一部の地区は値下がりしているが、値上がりした地区が多く、バラツキが生じている。これは、これまでの連続した仕切価格値上げの未転嫁分か残っており、回収のため値上げした地区と、仕切価格の値下げを先取りして値下げした地区があるためである。
仕切価格は、2月11日(土)から3月末まで累計して約16円の大幅値上がりとなった。一方、末端市況は、週動向調査では、143円から158円と15円の値上がりとなっており、数字でみれば、仕切価格の値上げ分を、ほぼユーザーに転嫁したことになる。しかし、仕切価格の値上げの通告が金曜日、実施が土曜日であるのに対し、ユーザー転嫁は翌週の火、水曜日と遅れる。週動向調査は月曜日に実施で、その結果は水曜日の発表となる。そのため毎週3円程度の仕切価格の値上げが、連続して実施となると、末端市況に浸透するには1週間以上の遅れが出るのが通例となる。
仕切価格の値上がりの場合は、即日(土曜日)からユーザー転嫁すべきであるとされているが、周辺SSの動向に影響されることと、値上げ幅が何10銭という小幅となると、直ちに転嫁することは難しい。この場合、次週の動きをみることになり、累計で2~3円となった時点でのユーザー転嫁となる。販売業者は後手に回るため未転嫁が残る。今回のように毎週3円という俸上げ状態となると、様子を見る余裕はない。大幅な仕切価格値上げとなったため、販売業者もこれを負担すると大幅な赤字となることから危機感を強め、ユーザー転嫁に真剣に取り組んだ。
現金価格の場合は、SS店頭の看板価格の改定をすることで値取が可能となるが、周辺SSよりも高値の看板を掲示するとユーザーが逃げ、減販となるため、価格設定が鍵となる。街道沿いは看板商法が主流であるため表示価格を改定することで、容易に値上げは可能となっている。だが、その価格設定と実施のタイミングが難しい。周辺SSの出方をみながら値上げに踏み切るが、今回は元売の販売子会社が卒先して値上げしていることもあって、軌道に乗った。しかし掛売は月決めであるため、毎週の大幅な値上げで対応に苦慮した。締め切りが20日、25日、月末とユーザーによって異なっており、値上げ幅も変わってくる。また、10円以上という大幅値上げとなるためユーザーを説得しなければならない。
ここにきての値下がり傾向が懸念されてきた。「値上げは遅れ、値下がりは早い」という石油業界の慣例がある。下手なゴルファーで登りのパットは打ち切れずカップに届かず、下りは打ち過ぎてカップを通過してグリーンをオーバーする、と比喩されているが的を得ている。しかし仕切価格の値下がりが1円程度であり、今までの未遂分も残っているため、ここは値下げせず市況維持に努めるべきである。