日刊ニュース

2012.05.01 のニュース

石油を大事にする政策を

 今年10月から導入される「地球温暖化のための税」とは、事実上の石油石炭税の増税であり、今後5年間かけて段階的に引き上げる。さらに決着はついていないものの消費税増税は、ガソリン税へのタックス・オン・タックス問題が未解決のほか、増税が決まれば3%そして2%と小刻みな増税が続く。完全転嫁という困難な問題がSS事業者に重くのしかかってくる。需要が漸減する中で石油販売業界には外生的要因で経営が左右される状態が続くのである。
 ところが同じエネルギーの中でも電力・ガス料金は温暖対税増税や消費税増税があっても自動的に料金に転嫁できる仕組みが整っている。昨年8月の通常国会終盤で再生可能エ
ネルギーの買取制度が法制化された際に、賦課金や税金などの外生的・固定的なコスト変動に起因する料金改定を、簡易かつ機動的にできるよう電気事業法、ガス事業法が改正されたのである。
 「分散独立型で立ち上がりが早く使い勝手がいい」。昨年の東日本大震災で最も必要とされたエネルギーとして石油は再評価された、と我々は思っていた。ところが国のスタンスは、電気・ガスには増税の際に自動的に料金転嫁ができるように配慮し収益を担保する一方で、石油の増税に関する転嫁についてはなんの制度的保証もなく、つまりは自己責任で行えという扱いだ。
 だからといって愚痴ばかり言っていられない。本日の紙面にあるとおり24日、民主党のエネルギーPT化石エネルギー検討小委員会(田嶋要小委員長)が取りまとめた提言の中で、「SSはエネルギー供給の最後の拠り所」と位置付け、SS事業者の減少を食い止め、災害時に備えたサプライチェーンの維持・強化の必要性を提言した。小委ヒアリングで全石連が大震災時の燃料供給など強く訴えたものか反映された。
 この夏のエネルギー基本計画の見直しの中にこの提言が大きな柱として盛り込まれることを強く期待する。しかし、まずは前述したように、税などの転嫁について電気・ガス並
みの手厚い制度的支援などを実施すべきだ。電気・ガスに比べ、石油の税金ははるかに巨額だ。しかし、増税のたびにSSが未転嫁分を自己負担するような現行の仕組みでは、SS事業者の減少を食い止めるどころか助長するだけである。石油を大事にする政策への転換が必要だ。

提供元:全国石油商業組合連合会
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