2012.05.07 のニュース
「動く」促す千円高速復活を
3.11や原発事故の影響が顕在化し、列島全体の経済が停滞、自粛が相次ぎ、個人消費が氷結して「不動」となってしまった前年の大型連休。それとの比較では、好天に恵まれたこともあって、今年の連休前半は個人が「動く」ことを思い出しつつあるようだ。
前年比で増えた、減った。ガソリン内需のこれからの動向は、あまりにも悪すぎた前年4~9月との比較では、ほぼ前年比プラスを記録し続けるだろう。前年の内需は4月11.8%減、5月と6月は1.7%減。最盛期の夏商戦は7月4.3%減、8月2.1%減に沈み、9月も5.8%減という結果に終わり、年度上半期は3.9%減に縮んだ。
計画停電という企業・個人行動を大きく制約する要素は、現状では西日本を中心にその範囲を一段と広げる横様だ。前年6月19日をもって高速休日1千円か廃止され、ガソリン内需を下支えしていた政策が消えている。原油高の余韻が残るガソリン小売価格は、トリガーに抵触しそうな高値にある。ここに、低燃費のエコカー増大というクルマ自体の基礎要因が加わる。
今後のガソリン内需は、それを下支えしていた要因が少なくなり、内需をより下押ししそうなマイナス要因が目に付くばかりだ。
民主党が廃止を公約していた旧・ガソリン暫定税率分の2011年度総額は、消費税タックス・オン・タックス分の低下を含めて約1兆5078億円だ。
牽強付会のような行政解釈でガソリン税に課せられている消費税タックス・オン・タックスの11年度総額は、約1540億円だ。
原油高を通じたガソリンと灯油、軽油のSS関連3油種1億970万KLの小売単価の年度平均12円上昇で派生した消費税の純増収分の11年度総額は、約658億円だ。
個人消費を「動く」方向へと強力に誘引し、経済の活性化を狙う。その活性化を通じて、より多くの税収を得る。この手法は、財政当局の王道だが、例えば復興財源へ回された高速1千円の財源は、約500億円という。
500億円を投じて、個人消費を「動く」方向へと導く政策が必要である。高速1千円復活を通じて、より多くのクルマと人が「動く」ことで、地方の主産業である観光が勢い付き、被災地復興の大きな支援にもなる。