日刊ニュース

2012.05.07 のニュース

23年度の燃料油販売は横ばい ―電力用C重油の増販で他油種の減販をカバーー

 平成23年度の燃料油販売は、1億9606万KLで前年度比で横ばいとなった。東日本大震災の影響で当初は大幅な減販が予想されたが、原発事故により石油火力に電力がシフトしたことで、C重油が大幅な増販となったため、他油種の減販をカバーして横ばいとなった。また、閏年で2月が1日多いことも寄与した。
 油種別でみるとC重油が37%の大幅増となったか、他油種は、軒並みマイナスとなり、相殺されて横ばいとなった。震災の影響で不況が続き、電力用C重油以外の販売は低調である。軽油などは復興特需もあり、増販を期待したが、前年比では横ばいとなっている。上期の燃料油販売は3.7%減、下期は3%増で、年間では横ばいとなった。
 福島原発が事故で稼働停止となり、その他の原発も定期修理のため停止、地元では安全性が確認できるまでは再稼働させないとの対応で、ついに原発の稼働は5日でゼロとなる。今後もこの状況が続くことで、今夏の電力需給は遍迫すると予想されている。そのため今後も石油火力でカバーすることになり、電力用C重油の販売が増加する。。
 23年度の電力10社の重油受入は1219万KLで99%増となった。上期は440万KLで36%増、下期は779万KLで169%増である。産業用は燃料転換、不況などでマイナスとなっているが、電力用の大幅な増加でC重油全体では増加となる。
 23年度の販売を油種別でみるとガソリンは1.6%減、ナフサが6.4%減、ジェット燃料が18%減、灯油が3.6%減となった。軽油は復興特需もあって0.1%の微減、重油はA重油が4.8%減、B・C重油が37%増となった。
 ガソリンは、23年度スタートの4月には大幅減少が見込まれたが、需要が回復したこともあり、下期は0.7%の微増となり、年間では1.6%減に止まった。灯油は、上期は前年の4月が高水準であったことの反動で17%の大幅減となったが、災害の影響で夏場に灯油ストーブが増販となり灯油需要が増加すると見込まれた。在庫も積み上げ、寒波も襲来したが、石油業界が増販を期待した割りには販売が伸びず思惑外れとなった。それでも下期は1.3%増となり、年間で3.6%の減となった。軽油も復興需要が発生すると期待された。被災地などでは重機の稼働、支援物資の運送、貨物輸送の増加で下期は1.6%の増となり、年間では横ばいとなった。
 一方、供給面では燃料油生産は1億8544万KLで5%減となったが、うちC重油の生産は7%増となった。石油製品輸入は13%増、C重油は715万KL(前年は302万KL)で136%増となっている。電力用C重油は大幅な増販となったが、国内での増産、LSC重油の輸入増で対応したことになる。
 原油輪入は2億0917万KLで2.4%減、うち、イランが1626万KLで22%減、シェアも7.8%(前年は9.8%)となり減少した。イランの核開発疑惑問題を巡りアメリカから輸入を減らすよう要請されていたが、結果的にイランからの輸入は減少した。これに代わり、サウジ、UAEなどが増加した。また、電力用の重油を確保するためLS原油を手当てしたため南方物のインドネシア、マレーシアなどが増加した。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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