日刊ニュース

2012.05.08 のニュース

民主党エネ政策を打ち出す ―業界の意見を反映も実行性がカギー

 総合資源エネルギー調査会基本間題委員会の審議は、原発問題に集中しているが、今後は一次エネルギー供給の構成比、その中でも石油など化石燃料の位置づけを審議すべきとの意見も出ている。橘川委員は「一次エネルギー供給に占める石油の比率は、依然として高い。原発の議論も大切であるが化石燃料の役割、重要性を議論すべきである」と語っている。後日、一次エネルギー供給という立場から審議することになる。
 一方、民主党もエネルギーPTの化石エネルギー検討小委員会を設け、2017年までの今後5年間を目途に重点策の審議を行なっており、中間とりまとめを提示するなど新しい動きも出てきた。
 化石エネルギー検討小委では、稼働停止中の原発を補う化石エネルギーの重要性が増大しているとの観点から検討が行なわれた。石油連盟、日本LPG協会、JOGMEC、国際石油開発帝石、資源エネルギー庁などから意見を聴いており、石油、LPG、石油開発、天然ガスパイプラインなど広範囲にわたって中間とりまとめを行なったもの。今後も審識を続け、エネルギーPTの報告書に織り込む予定である。
 今回の中間とりまとめでは石油業界の意見を網羅しているが、政策としてどこまで反映できるかがカギとなる。中間取りまとめでは、①石油は災害時に大きな役割が朗待されるため製油所からSSまでのサプライチェーンの維持強化を図り、緊急時に円滑に供給される施策を拡充する、②学校、公民館などの地域の防災拠点に石油、LPGの導入を促進する、③石油は連産品であるため平時から安定した需要の確保に努める、④SSやLPG販売所はエネルギー供給の最後の拠り所であり、これ以上の減少を食い止め、供給体制を全国ベースで確保するする、など石油業界の要望が、そのまま反映されている。
 全石連も民主党石油流通問題懇談会に対して、不当廉売など独占禁止法の違反行為に対して運用強化などを要望している。民主党も石油など化石燃料に対して政権与党の立場から理解を示したことになる。これまでは、石油、エネルギーなどの産業界に対しパイプや窓口がなく、どこで政策が決定されるか不透明であったが、政策を検討する窓口ができたことは一歩前進と受け止められる。
 現在、総合エネルギー調査会で、新しいエネルギー基本計画を審議しているが「脱原発」と「原発推進」の2項対立に終始しており、調整がつかない状況が続いている。今回の化石エネルギー検討小委の議論は、原発をカバーする化石エネルギーの重要性について、民主党内でも議論を進めることになったもの。一方、エネルギー問題を政策として先取りすることで、石油業界などとのパイプを強めたいとの思惑が働いたものとみられる。中間とりまとめから本報告となるが、その後、政策として実行されるかが注目される。
 新しいエネルギー基本計画の議論は、総合資源エネルギー調査会を経て、エネルギー環境会議で詰めることになるが、化石エネルギー検討小委のとりまとめが石油業界の要望を
組み入れた上で、全般のエネルギー政策にどこまで反映されるかが注目される。まずは来年度予算要求で試されることになる。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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