日刊ニュース

2012.05.15 のニュース

万一に備えたSS活用を望む

 政府や東京都などから防災対策強化の方向性が次々と示されている。中央防災会議の専門調査会は、大震災の教訓を踏まえた中間報告をまとめ、発生が危惧される大規模災害として南海トラフ巨大地震、首都直下地震、火山災害、大規模水害を想定、日本の持続的発展が損なわれないための減災・早期回復が最大使命と位置付けた。その中では、石油の安定的な供給体制の構築、国・自治体と事業者間の情報共有化が重要などと指摘している。また、同調査会の下に設置された首都直下地震対策検討WGの初会合では、首都中枢機能の確保や企業防災力の向上、帰宅困難者や避難者への対応検討を盛り込んだ。
 他方、東京都防災会議が6年ぶりに見直しを加えた被害想定によると、最新の知見を反映した結果、東京湾岸沿いの一部で震度7の地域が出現するほか、震度6強の地域か拡大して東京湾北部地震では区部の約7割にも及び、帰宅困難者は517万人に達するとされた。
 突発的な大災害は、被害が一段と大きくなる。周期性の大地震は、年月の経過とともに発生確率が着実に高まる。防災対策の指針づくりは不可欠だが、できることから具体化を
急がないと、一層の減災が手遅れになりかねない。インフラ拠点を自認する我々は、災害時でも大事なお客様に対して可能な限り対応を講じたいと考えている。地域社会との共生、地域市民との共助を存在意義そのものと捉える地場業者は特に多い。開通した新東名や現在改築中の高速SA・SSでは防災拠点機能の強化が進められているが、中小SSでもできることは少なくないし、地域密着型ゆえこその強みもある。例えば都内では、地域支部が所轄消防署の協力を得てレスキュー隊を編成し、訓練を積んだり、給油レシートの裏面広告を活用して家庭の地震対策をアピールした事例も見られる。曰常的に消費者と声をかけ合うことができる業態は貴重だ。
 危機管理の観点から災害時協定の締結が拡大しているが、公的機関やBCP必須の企業などには、いざとなれば駆け込むつもりの地場SSと平時から連携することを強く望みたい。定期的な意思疎通と共通理解があれば、より円滑に、柔軟に、地域社会の役に立てると多くの組合員が感じている。地理や地縁に明るい地場SSの喪失は、地域の損失と考えてみてほしい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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