2012.05.16 のニュース
原油の上昇で石油開発は増益 ―元売の連結利益を押し上げるー
平成24年3月期(23年度)の石油開発企業、元売の石油開発事業の決算が出揃ったが、為替は円高となっていたものの、原油価格の高騰で大幅な増益となった。石油開発の場合は、原油価格と為替の変動が利益に直接影響する。為替が79円/ドル(前年は86円)で7円の円高となり減益の要因となったが、原油価格(ブレント)が113ドル/バーレルで前年の84ドルに比べ29ドルの値上がり(34%増)、ドバイは109ドルで前年の82ドルに比べて27ドルの値上がりと、大幅な値上がりのため相殺され増収、増益となった。
国際石油開発帝石は、経常利益が7670億円(前年は5085億円)で前年に比べ2584億円増(51%増)、法人税等(産油国への税金など)が5431億円と多額となったが、純利益は1940億円(前年は1286億円)で653億円の増益となり、純利益は過去最高となった。
セグメント別の営業利益でみると日本が246億円で13億円の減益となったが、これは天然ガスの買入高の増加によるもの。アジア・オセアニアが2995億円で637億円
の増益、ユーラシアが470億円で106億円の増益、中東・アフリカが3541億円で1110億円の増益、米州が55億円の損失(探鉱費の増加で)となった。
24年度は原油価格を100ドル、為替を80円/ドルと見込んでおり、利益は1640億円で300億円の減益(16%減)と見通している。足元の原油価格の値下がりを見込んでいるが、利益は原油価格、為替次第となる。油価1ドル上昇(下落)した場合の純利益の影響は18億円の増(減)、為替が1円円安(円高)の場合は22億円増(減)の影響となる。
石油資源開発は、経常利益が222億円(171億円)で51億円の増益(29%増)、純利益は170億円(100億円)で70億円の増益(70%増)となった。
セグメント別では日本の営業利益は240億円で42億円の増益、北米は12億円で20億円の減益(カナダでの探鉱費の増加で)となった。
24年度見通しは、経常利益が168億円で24%減、利益は165億円で2・9%減を見込んでいる。原油価格の値下がりを見込んでいるためである。また北海道、新潟で各2抗を掘削する計画である。
元売の石油開発事業でみるとJX日鉱日石エネルギーの石油開発事業では、経常利益が975億円(505億円)で350億円の増益となっている。24年度は750億円で225億円の減益を見込んでいる。出光興産は、営業利益で279億円(215億円)で65億円の増益。24年度は260億円で19億円の減益を見込んでいる。コスモ石油は520億円(347億円)で173億円の増益。24年度は660億円で140億円の増益を見込んでおり、原油価格については上昇を予測している。
精製販売事業は、原油高となると在庫評価益が発生して利益増となるが、実際のところは、コスト増が転嫁できるかがポイントとなる。在庫評価益を除いての利益となるが、石
油製品のマージンは減少したが、石油開発業、石油化学が増益となり連結の利益を押し上げたことになる。
24年度の原油価格は、足元の値下がりから減益を予測している企業と、値上がりを見込んで増益とする企業とで見通しが異なっている。