日刊ニュース

2012.05.29 のニュース

セルフSS増加は頭打ち ―震災後は元売のSS投資計画も変更―

 石油情報センターの調査によると昨年12月末のセルフSSは、8584ヵ所となり、10月~12月の3ヵ月間では52ヵ所の増加となった。うち参入が86ヵ所となったが、撤退が34ヵ所あり、相殺すると52ヵ所の増加となった。4月~12月では131ヵ所の増加となっている。年間で1000力所が増加した時期に比べると増加串は鈍化している。
 セルフSSは平成10年4月から解禁となり、セルフブームで急増したが、ここへきて頭打ちとなってきた。石油業界の自由化の一環として実施されたもので、消防法の規制緩和によりユーザーがガソリンを給油することで人手を省くことにより、ガソリン販売価格を安くする狙いで導入された。元売は導入に賛成して積極的に展開、新しい薄利多売の商法としてシェアを拡大した。一方、販売業界からは、ガソリンの取扱いをユーザーに任せることは危険であり、また、ガソリン市況の下落に繋がるとしてセルフSS導入に反対の声が出た。だが、自由化の流れを止めることはできず、解禁実施となった。大手の販売業者がセルフSS経営に取り組むケースも多くなり、販売業界内部で意見が対立した。当時はSSの人手不足が深刻化しており、その解消策としてセルフSS導入も止むを得ないという見方もあった。
 当初、販売価格の設定ではフルサービスSSとは2円価格差で対応することで容認となったが、セルフSSの急増とともに、HC、量販店が増加してプライスリーダーとしての役割を果たしたことから、安値攻勢で双方の価格差が拡大したため、なし崩しとなり今日に至っている。
 セルフSSの増加をみると平成13年度末には1353ヵ所、15年度には3432ヵ所、16年度末には4104ヵ所、17年度末には4956カ所となり、5000ヵ所にせまった。18年度末には6162ヵ所、20年度末には7774ヵ所、21年度末には8296ヵ所となっているが、年々、増加のテンポは遅くなっている。
 昨今では、セルフSSの新設も減少しているが、セルフSS間での競争が激化しており、撤退数も増加している。元売も震災の影響で東北地方のSSが減少したが、セルフSS建設計画の見直し、災害対応型SSの設置などSS投資も変わってきた。セルフSSの建設コストは巨額であり、一般販売業者の建設は難しい。そのため大半が元売か元売販売子会社、量販店に限られている。その結果、元売社有となっており、元売の販売シェアが拡大している。この傾向は今後も増加する。
 SS数はピークの6万力所から3万9000ヵ所に減少、今後も減少が見込まれる。セルフSSは、フルサービスSSを駆逐してきたが、今後のガソリン販売は減少傾向が強まり、年率3%~4%減が見込まれていることから投資効果も期待ができなくなってきた。
 ガソリン販売は、①エコカー減税 で好調な新車の販売はハイブリッド車、小型の省燃費車となっている、②若者の車離れが進んでいる、③不況下でユーザーの節約が定着している、など増加する要因は見当たらない。増加するには、夏場に高温・好天が続きカークーラーの使用が増加するなどの天候要因と、景気の回復で個人消費が増加する、などの要因を期待する以外に方策はない。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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