日刊ニュース

2010.08.19 のニュース

論説 クルマが元気を取り戻した夏

ハイブリツド車(HV)の代名詞・プリウスは、この1年間(8~7月)で約35万台が新車登録された。この分母に相当する登録車の合計が約290万台だから、プリウスのシェアは12%に迫る。ホンダ・インサイトも9万台売れているから、ほぼ50万台、新車の2割がHVになったものと推計できる。軽自動車に貨物、バスなどを加えた2輪を除く全新車490万台に占めるシェアでも、HVは10%を超えた。
 「HV累計170万台で900万トンのCO2を削減」。「ガソリン1LのCO2排出量は2.322KG」。この2つのフレーズを引用すると、HV50万台のガソリン節約効果は、114万KLという数字が出てくる。この1年間で売れた新車は、従来型のガソリン車と比較して今後、車齢が続く限り、年114万KLのガソリン内需を抑制する威力を発揮する意味を持つ。
 HV効果を、年5700万KLのガソリン内需と照会してみると、そこまでの削減効果が見えていない。実際、昨年8月から今年7月までの12カ月累計の年換算ガソリン内需は前年同期比で1.5%増の5770万KLに達する。特に猛暑の7、8月商戦は、ガソリン小売価格の値下がりが続いているとはいえ、前年よりも平均10円割高な水準でも、エアコンのフル稼働需要が加わり、相当、好調と伝えられている。
 両方の数字ともに真実という前提で弾き出される回答は、1台のクルマの稼働領域が増えた、という結論になる。政策的な意味を問い直すと、ガソリン内需においては、HV増加のデメリットよりも、高速休日1000円効果のメリットのほうが勝った、という外観になる。
 この9月末でエコカー減税が終了するが、減税終了後もHVは新車の中でシェアを上げ続けるだろう。今秋以降も、さらに省燃費の小型HVが投入される。15KM以下の燃費だったクルマが、年50万台以上のペースで30KM燃費の車両に置き換わる事実が鮮明に見えている。
 SSでも目に見えて増え続けるHVを、商機として、社員教育としてキャツチアップするために、組織、系列、自社グループなど、実習や座学での蓄積が始まっている。受講者の真剣な眼差しには、自らの仕事をマイナス指向で捉える影は微塵も見えない。収益力に支えられた報酬や未来指向によって、その眼差しに応え得るSS経営者でありたい。

提供元:全国石油商業組合連合会
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