日刊ニュース

2012.06.22 のニュース

総合エネ調 ようやく石油を議論 ―石油火力の活用、災害に強い体制整備をー

 原発政策を中心にした中長期的なエネルギーミックス(2030年)の選択肢は、6月中にエネルギー・環境会議で決定される。原子力委員会総合資源エネルギー調査会、中央環境審議会3委員会の意見を、統合した絵姿を複数のシナリオとして提案、その後に国民的な議論が行なわれ、8月には「革新的なエネルギー環境戦略」を決める日程である。
 総合エネ調としての原発政策の議論を終えたことから、エネルギー政策基本法に基づく、新しいエネルギー基本計画を策定するためのエネルギー全般の議論に入った。この基本計画は経済産業大臣が総合エネ調の意見を聴いて計画を作成、閣議で決定する。少なくとも3年ごとに検討を加えることになっており、現行の計画は10年6月に閣議決定されたが、昨年3月の東日本大震災の発生で見直しすることになったもの。
 すでに『新しいエネルギー計画の策定に向けての論点整理』、「エネルギーミックスの選択肢の原案」では全般にわたって議論されており、方向性は示されている。そのため事務局(経産省)が、今回の見直しの重点課題を示している。
 福島原発事故の反省から、「原発の安全性の確保、原発政策の再構築」、「再生可能エネルギーの開発」、『化石燃料の有効利用』、「原発の依存度のできる限りの低減」など具体化を図ることになるが、震災を教訓に、天然ガスのインフラ整備、災害に強い石油製品供給体制の構築など、エネルギーシステムの改革をあげている。
 石油についての具体策は①化石燃料の有効利用で石油火力をバランス良く活用すべきである、②石油火力の最新設備を取り入れつつ、新増設やリプレース等を進め、環境負荷の低減を進める必要がある、③原油の重質油化や国内石油製品需要の白油化に対応、重油分解装置の向上、コンビナート連携の強化等を推進する、④災害時に大きな役割が期待される石油については、連産品である特性を踏まえ、平時から石油製品の安定的な需要に努力すべきである、
⑤災害に強く分散型エネルギーとして期待されるLPGについては適切な利用拡大策を講じるべきである、などの政策推進策をあげている。
 また、石油製品の供給システムの再構築については「震災によって石油関連設備に甚大な被害が生じ、石油製品の供給力が低下したことや、全国のSSやLPG販売所が地域の最後の拠り所となっていることを踏まえ、災害時に確実に石油製品を供給できる体制の整備、災害対策を強化すべきである」と提示している。
 資源・燃料の安定的かつ安価での確保策では「新興国の資源需要の拡大、資源ナショナリズムの台頭により世界の資源確保競争が厳しくなっている。また、燃料調達コストが増大しており、化石燃料の安価かつ安定的な調達が経済財政にとって喫緊の課題となっている。一方、シェールガス等の新規供給源へのアクセスや調達の多様化、調達=ストの削減を逃める余地はあるのではないか」と指摘している。
 これらの指摘は、すでに昨年末の「資源、燃料の安定供給確保の先行実施対策」、今年度予算要求、補正予算でも織り込まれており、新しいエネルギー基本計画にも反映されるものとみられるが、政策、予算面で実際に執行されることが最も重要である。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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