日刊ニュース

2012.06.27 のニュース

石油の重要性は再認識されるも ―需要減少で供給体制は弱体化―

 総合資源エネルギー調査基本問題検討要員会は、エネルギーミックスの選択肢を決めたことで、今後は一次エネルギー供給の化石燃料などエネルギー全般のあり方を審議する。これまでの議論は原発問題を集中的に取り上げており、「反原発」と、「原発推進」の対立に終始した。結果的には2030年の電源構成比の原発比率を、①ゼロ(火力発電は全体で約50%で、うち石油は6%)、②15%(火力発電は40%で、石油は4%)③20~25%(火力発電は35%で、うち石油は4%)、の3通り選択肢を決め、エネルギー・環境会議に提示、近く最終報告をとりまとめる。だが、石油火力の比率は4~6%(10年度は9%)と低い。
 引続き、エネルギー基本計画を策定するため19日(27回)には、資源、燃料の安定供給対策をとりあげたが、台風上陸のため時間がなく、説明のみに止まった。うち、石油については、一次エネルギー供給に占める比率は、原発比率の選択肢①のゼロの場合、石油は32%、②の場合も同じく32%、③の場合は31%、と3つの案が示されている。LPGは各選択肢で現行計画と同数の3%となっており、この案を日本LPガス協会は評価している。
 木村石油連盟会長(JX日鉱日石エネルギー社長)は「石油の一次エネルギーに占める比率は、2030年でも30%以上で依然として第一位である。石油の位置づけ、役割の重要性を明確にするために石油業界の意見が浸透するよう努力したい」と述べている。
 石油の需要は、今後も減少すると予想されているが、東日本大震災において、災害時に強く、重要な役割を果たしたことで再認識されている。石油の需要は、2011年度でみると燃料油全体では前年比で2・4%減。C重油が原発事故の影響で20%増であったが、他油種は、軒並みマイナスであり、C重油を除く燃料油では4・5%減となっている。今後も年率2%程度の減少が予想されており、その結果、2030年度には2010年度対比で約3割減少するとの見通しもある。
 石油需要の減少に伴い精製能力はピーク時の600万バーレル/日から460万バーレル/日に減少しているが、さらにエネルギー高度化法の施行で減少するものとみられる。製油所数は49ヵ所から27ヵ所に減少しており、日本海側は5ヵ所からゼロとなる。
 SSも6万力所(平成6年末がピーク)から3万8000ヵ所に、販売業者も3万1599者から1万9694者へと減少しており、今後も減少が見込まれている。その結果、SSの過疎化問題が発生しており、全国に石油製品を安定供給することが難しくなってきた。過疎化問題は、数年前から指摘されており、赤字で灯油を供給する販売業者が撤退したため生活できない地域も出てきた。
 震災の影響で、電気、ガスの供給が長期にわたって途絶えたが、石油、LPGの供給は、短期間で回復したことで石油の重要性が認識されている。だが、供給体制は、ますます弱体化している。
 そのため石油連盟では、石油の需要は減少が続くが災害時、緊急時に備えてサプライチェーンを維持するためにも、平常時において一定数量の需要を確保すべきである、との提言を行なっている。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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