日刊ニュース

2012.07.09 のニュース

国民的議論は原発ゼロが多数に ―政府の責任で選択肢を決めるー

 エネルギー・環境会議は、エネルギーミックスの3つの選択肢を決めたが、今後は国民的な議論を経て8月末には政府が方針を決めることになる。3つのシナリオは2030年の電源構成で、の原発をゼロ、①原発を15%、②原発を20~25%とし、それぞれ再生可能エネルギー、化石燃料などの依存度やコストを示しており、原発の減少分を再生可能エネルギーでカバーすることになっている。また、原発ゼロの場合は、使用済み核燃料が直接処分できるが、その他の場合は再処理の問題が残る。
 国民的議論となれば、原発問題に集中することになり、原発ゼロの意見が多くなることが予想される。聴取会人選を公平にしたとしても、討論型世論を実施することになると、現在の国民的な感情は反原発が多くなる。総合資源エネルギー調査会の議論においても原発ゼロの意見の多さが実証されている。国民的議論については、委員から国民投票にすべきであるとの意見も出ているが、最終的には政府が決めることになっている。だが、原発については、福島の事故以来、国民は安全性に疑問を持っており、これを払拭するには安全を証明する確たる根拠の提示以外になく、国民の理解を得るには時間もかかる。
 エネルギー政策の見直しは、エネルギー安全保障、温暖化対策、コスト、エネルギー高騰による産業の空洞化、雇用問題など影響が多岐にわたるため、国民の世論も大切だが、国としての政策判断が重要となる。
 国民的議論のスケジュールは、まず、7月上旬に3つのシナリオについて分かり易く解説する国家戦略室のホームページを立ち上げる。ついで国民が意見を表明できる聴取会全国11力所で開催する。7月14日から8月上旬までの間、週末(5回程度)を活用して、集中して実施する。パブリックコメントを7月末まで受け付け、自由記載による幅広い意見。提案を募集する。
 国民的議論を通じて、その意向を見極めるが必要があるため、政府は討論型の世論調査を実施して国民の意向を把握する。そのために8月上旬には、無作為抽出で選択した多様
な意見を持つ少人数グループを組成、3つのシナリオに関する中立的な資料に基づき学習し、その上でグループ討議を実施する。
 国民的議論を経て、8月にエネルギー・環境に関する方向性を定める「革新的エネルギー・環境戦略」を定める。2020年、2030年の温室効果ガスの国内排出量を示し、核燃料リサイクル政策については、原子力委具臨提示した選択肢を踏まえつつ、エネルギーミックスに応じて、政府が整理して決定する。このエネルギー・環境戦略を受けて、速やかにエネルギー基本計画を定め、年内に、原子が政策大綱、地球温暖化対策、グリーン政策大綱をまとめることになる。
 このエネルギー・環境戦略に関する議論に終りはなく、今後も継続し、不断の検証を行なう。事態の変化に機動的に対処できるようエネルギー・環境会議が政策の実行について監視を行ない、常に、国際的なエネルギー情勢、地球環境と技術の動向などの情報を提示する。また、どの選択肢も国際的な情勢、原子力安全に対する国民の信任に左右されることから検証を行なうべきである。

提供元:株式会社 石油タイムズ社
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