2012.07.11 のニュース
エネルギー基本計画の策定大詰め ―資源確保戦略、石油供給システムの再構築などー
エネルギー・環境会議でエネルギーミックスの選択肢が決まり、今後は国民的議論を経て8月末には「革新的エネルギー・環境戦略」を決定する。その後、速やかにエネルギー政策の全般をまとめた「エネルギー基本計画」を策定するため審議は継続して行なわれる。
「エネルギー基本計画」は、エネルギー需給に関する全般の施策を、長期的、総合的な計画として法律(エネルギー基本法)に基づいて策定するもので、経済産業大臣が総合資源エネルギー調査会の意見を反映して作成、閣議決定するものである。原発政策は、エネルギーミックスの選択肢を一本化したものになるが、一次エネルギー供給の数字はエネルギー経済研究所などに調査委託したものが採択される。そのため引続き総合エネ調で審議しており、7月5日(28回)は、水素エネルギーと燃料電池自動車、蓄電池を審議した。11日には国際エネルギー協力、30日には電力システム改革などを審議する。すでに、①天然ガスシフト、②石油製品の供給システムの再構築、③資源確保戦略、④次世代エネルギーとしての蓄電池・水素、⑤エネルギー・環境に係わる国際協力、などの政策を審議している。
天然ガスシフトについては、総合エネ調の下部組織に天然ガス基盤整備専門委員会を設けて検討、広域ガスパイプライン計画、地下貯蔵の活用による備蓄機能の強化の推進、などを打ち出している。ガスパイプラインは、災害時の対応、安全保障、ガス価格の低廉化のために整備を准めることが必要であるとしている。LNG火力へのネットワークの強化
をあげ、パイプラインは4つのルートをあげてコストも試算している。
石油製品の供給システムの再構築については、東日本大震災において供給力の低下を経験したが、今後予測される首都直下型、東海~南海の地震が発生した場合、製油所が太平洋側に集中しているため供給不足が深刻化する。そのため日本海側への大型油槽所の設置や、海外(韓国など)との共同備蓄、製品融通の連携強化をあげている。だが、日本海側は製油所がなく、大型の油槽所を設置しても供給できるのか、またコスト負担など、多くの問題点がある。災害時に太平洋側に供給するにはローリー、内航タンカーを配備することになる。緊急時対応のため、常時配置することになれば巨額なコストがかかる。また、製品パイプラインの収設となると、需要が減少している状況下では、予算を投下することが難しい。その他、SSとLPG販売所は地域ごとのエネルギー供給の最後の拠り所となっているため、災害対策を強化すべきとしているが、SSは減少の一途を辿っており、すでに過疎化問題が発生している。
資源確保戦略については、新興国の資源需要の拡大、資源保有国の資源ナショナリズムの台頭で資源獲得競争が激しくなってきており、また、震災以降、燃料調達コストが増大して貿易収支が赤字となったことから、化石燃料の安価かつ安定的供給が日本の経済財政に喫緊の課題となっている。LNGの供給確保、シェールガスなど新規供給源へのアクセス、調達先の多様化、調達コストの削減などが重要となると指摘している。これらの課題を来年度予算要求に反映させることになる。